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梅雨に入る直前の福岡で、湿った風が駅前の看板をベタつかせていた頃の話だ。 同じコールセンターで働いていた真島さんは三十九歳で、歳のわりにやけに身軽だった。夜勤明けでも妙に元気で、休憩室で缶コーヒーを開けながら、ポケットから小さい録音機を取り出してはニヤつく。趣味が環境音の録音らしい。雨樋に落...
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ホガサ
2025年12月31日
長編
しおり
二月の終わり、湾の風がまだ硬いころに、それは配られはじめた。漁協の窓口に積まれていた薄い冊子で、表紙には青い波の絵と、小さく町内向け無料とだけ印刷されている。潮位表にしては洒落ていて、ページの端にミシン目が走っていた。切り取ると栞になる。潮のしおり、と裏面に書いてある。 僕は養殖いかだの点検...
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ホガサ
2025年12月31日
お題
短編
ストーカー
これは、私が知人から聞いた話です・・・・・・ 知人の通う大学にH子(仮名)という女子学生がいるそうです。 そのH子が、ある時から 「あたし、K君(仮名)からストーキングされてるみたいなのぉ。」 と周囲に吹聴して回り始めたそうです。 K君と言えば、明るくて誰からも好かれる大学一の爽やかイケ...
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鈍色蝶々
2025年12月31日
お題
長編
白い息の女
冬の終わり、夜の電車は妙に静かだった。 窓の外は真っ黒で、ガラスに映る車内だけが“もう一つの世界”みたいに揺れている。 僕は座席に座ってスマホを眺めていた。 そのとき、向かいの席に座った女に気づいた。 息をのむほど、きれいだった。 長いまつ毛、整いすぎた鼻筋、肌は光を吸うみたいに白い。化粧...
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匿名
2025年12月30日
お題
長編
次を知ってる女
深夜のドラッグストアで、僕は一人でレジを回していた。 午前2時を過ぎると客足はほとんど途切れ、蛍光灯の白い光だけが店内を平らに照らす。 その静けさを切るように、いつも同じ女が来る。 薄いベージュのコート、髪は整いすぎるほど整っていて、買うのは毎回きまって「絆創膏」と「ミネラルウォーター」。 ...
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匿名
2025年12月30日
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