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長編

長い夜

匿名 2021年6月8日
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怖くない 123
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30代・男です。 当時、5歳の娘とアパートで2人暮らし 3年の内に1,2回は金縛りに遭うのですが、この間の金縛りは今までで1番怖かったので良ければ聞いてください。 去年の話しです。 あ。アパートの間取りは少し手狭な1Kで、玄関入って廊下の左手に台所。 右手にお風呂とトイレが並んでて、廊下の突き当たりに引き戸が付いた8畳程の部屋が1つです。 その部屋の壁際にシングルのベッドを置いていて、その夜もいつものように娘とベッドに並んで寝ていました。 時間は分かりませんが、ふと、トイレに行きたくなり真夜中に目覚めました。娘は横でイビキをかいて熟睡していたので、起こさないようにそっと起き上がり、電気は点けず窓から入ってくる灯りを頼りに部屋を出ました。 トイレで用を足し終え、部屋に戻り静かに戸を閉め、ベッドに戻って仰向けに寝転がりました。 足下の方向に部屋のドアがあるのですが、ふと見るとドアが開いています。 (あれ?今オレドア閉めたよな??) 不思議に思いましたが寝ぼけていて、ドアを閉めたつもりになってたのかな?と。 とりあえず閉まってないと落ち着いて眠れないタチなので、再び起きあがりドアを閉めに行きました。 ガラガラガラ〜、トン。 今度はきちんと閉めたことを確認して、よし寝るぞ!とベッドに振り返った瞬間 金縛り。 ドアを背にした状態で突然 体が動かなくなり、しかも立ったままでの金縛りは初めてなので軽くパニックに。 真っ暗な部屋で立ち尽くしたまま、落ち着けと自分に言い聞かせる。 これは夢か?いやいや覚醒してる。起きてるしトイレも行った。声が出せない。 なんで動けない?金縛り? 指は?手は?足は?首は? …どこも動かせない。 部屋の中に異常は無い。呼吸は…、少し苦しいけど大丈夫。目は動く。 娘は? 寝てる。静かだ。 ついさっきまで大きなイビキかいてたはず 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 耳のすぐ側で、低い男の声が突然響いた。 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 囁いているような、叫んでいるような、静かだが耳に響くお経が繰り返される。 ドクンッと心臓が鳴り、汗が一気に吹き出る。 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 息がかかりそうな距離、すぐ右斜め後ろから男がずっとお経を唱えてる。心臓はもうバクバクしている。 丸坊主の男。 眼球は無く目玉が本来ある位置には真っ黒な空洞だけ。首から下には何も無い。 金縛りで振り返る事が出来ない自分には見えるはずがないのに。 お経を唱えるソレの姿が、 なぜかくっきりと視えた。 (ヤバイ!ヤバイ!) 言いようの無い恐怖と不安に駆られ、どうにか体を動かそうと力を込める。 金縛りには何度も遭ったことがあるので、ある程度の対処法はわかる。 体のどこか、一部分でいい。無理矢理にでも動かせれば一気に金縛りが解ける。はずだ。今までの経験上。 延々と繰り返されるお経に恐怖心を煽られながら、 (うおおおおおお!!)と力を込めると、右足が少し動いた。 (よし!) 1歩だけ前に出た。 金縛りは解けない。 左足も動く。2歩目。 金縛りが解けない。 おかしい、今までと違う。金縛りが解けない。 体がズッシリと重い。 気を抜くとまた動けなくなりそうだ。 『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』 お経も消えない。こわい。 と、いきなり部屋の雰囲気が変わった。 真っ暗なだけの部屋だったのが、濃い紫と黒の縦に走るノイズのようなもの? 何と言えばいいかわからないけど、視界に無数のノイズがかかるという表現がピッタリくる。 テレビや家具の輪郭が歪んで見える。 重力が2倍になったようなプレッシャーを部屋全体から感じ、今まで経験したことの無い別次元の恐怖に圧し潰されそうになった。 自分の部屋が、自分の部屋じゃないようだ。 (状況が悪化した) 心臓の鼓動はどんどん早まり、息が詰まりそうになりながら それでもなんとか、重い足を持ち上げ1歩ずつ前に出る。 『南〜ザザッ妙〜ザザザザ蓮〜華〜経ザーッ』 後ろから聞こえてくるお経までノイズ混じりで気がおかしくなりそうになる。 ベッドには娘がピクリとも動かず横になっていた。とにかく娘のもとに行きたい。 情けないことに、娘が心配で、と言うよりは自分が安心したくて娘のもとへ向かっていた。 汗だくになりながらも時間をかけ1歩ずつ。 やっとの思いでベッドの側へ辿り着く。 すると、フッと金縛りが解けた。 異常なプレッシャーから解放され、力尽き、娘の横にドサリと倒れ込んだ。 静かな部屋に、心臓がドキドキうるさい。 荒れた呼吸を整えながら部屋を見渡す。 いつもの自分の部屋だ。 お経ももう聞こえない。 横を見ると、娘が大きなイビキをかいて気持ち良さそうに眠っている。 (…帰ってこれたぁ〜) 帰ってこれた。1番最初に思ったことは、帰ってこれた。だった。最初から自分の部屋にいたのに、その気持ちでいっぱいだった。 金縛りは解けたものの、心はすっかり恐怖で満たされていたので 娘にギュッと抱きつき恐怖を和らげる。 もうドアの方は見ないようにし、背中に微かな気配を感じながらも (終わったぁ。眠ろう) と、ムリヤリ眠りについた。 気がつくと、綺麗な木々が立ち並ぶ森の中に立っていた。 空気も澄んでいて陽射しがとても気持ちいい。 周りを見渡すが自分ひとりしかいないようだ。 少し歩いてみると、ちょっとした広場のような場所に出てきた。 そこに見覚えのある車が止まっている。 (あれ?オレの車だ) 車に近づくとエンジンがかかっていて、運転席に誰かが乗ってる。 顔がぼやけてよく見えないが、助手席に乗れと手招きしている。 ああ、乗らなきゃ。と助手席のドアを開け、乗り込もうとした時、後ろから手を引っ張られた。 なんだ?と思い、振り返ると先輩がいた。 職場でいつも冗談を言いあったりしていて、いつもお世話になっている先輩が、オレの手を引っ張っていた。 「あれぇ、こんなところでどうしたんですか先輩?」と笑いかけた。 「乗るな。」と言うので 「え?なんでですか?」と聞くと、 強い口調で 『おまえ連れてかれるぞ!!』 ビクっとして目が覚める。 …あ、夢見てたんだ。 よいしょと体を起こすと部屋が明るい。 気がつくと朝になっていました。 少し頭がボーッとする。 …最後の『連れてかれるぞ』という言葉だけが夢では無く、現実で聞こえたような気がして少し怖くなりましたが、横でスヤスヤ眠っている娘を見て また安心しました。 「よし!怖いのは全部忘れて仕事行くぞ! おはよう!保育園行くよ!起きて!」 …と、まぁ夢に出て来た先輩が、 すでに亡くなっている人だったり、 この後、自分に何かが起これば怖い話しとしては良かったのかもしれませんが そんな事も無く、僕も娘も元気いっぱい。この夜の体験を先輩に話した時も 「怖〜。お前の部屋何かいるんじゃねw」 と笑ってるだけでしたw 金縛りも夢だったのか? でも夢だとするとどこからが夢だった? 夢に入るタイミング無かったぞ?間違いなくトイレ行ったし。とか、しばらくこの夜のこと思い返したりしてましたが 結局、夢だったようにはどうしても思えませんでした。 この時の自分は本当に、怖くて怖くて泣きそうなくらいだったのですが聞いてる方はあんまり怖くないかも知れませんw悪しからずw 以上でこの話しは終わりです。 初めてこういう投稿をしたので、特にオチがあるわけでも無く、わかりづらいところがあったり 拙いところもあったとは思いますが、長々とお付き合いくださりありがとうございました。 最後にひとつだけ。 さっきからあなたの後ろにいる人 、だれですか?

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