
冬の寒さが身に染みるある夜、母方の祖母が亡くなった。長い闘病生活を経ての別れで、家族はある程度覚悟をしていたが、やはりショックは大きい。
葬儀のため、老舗の旅館へ向かう道中、親族が集まり、通夜の準備が進められていた。僕は従兄弟の健太と一緒に受付を任されていたが、夜が更けるにつれ、弔問客が次々と訪れ、忙しさが増していった。
通夜の準備がひと段落した時、母が息を切らしながらやってきた。
「叔母が急に体調を崩して、病院に運ばれたの。」
何が起こったのかと詳しく聞くと、叔母は急な腹痛に見舞われ、顔色を失いながらうずくまっていたという。
そのため、叔母の子供、甥の太一を僕と健太が預かることになった。
旅館の部屋に戻り、弁当を食べ終わった頃、太一が部屋の隅で何やら楽しそうに遊んでいるのが目に入った。
「太一、もう寝る時間だよ。」
そう声をかけると、彼は振り返り、ニコッと笑った後、また遊び始めた。健太が不安そうに言った。
「やっぱりお前が見に行けよ。あいつ、なんか変じゃね?」
僕は仕方なく部屋を出て、太一の後を追った。すると、彼は階段の上を指差し、
「お姉さんが呼んでる!」と言った。
「お姉さん?」
好奇心に駆られ、聞き返すと、太一は続けた。
「赤い服を着たお姉さんが、こっち来いって手を振ってる。」
その瞬間、背筋に冷たいものが走った。誰も見えないはずの階段の上から、確かに誰かの気配が感じられた。
健太が眉をひそめて言った。「知らない人について行っちゃダメだぞ。」
「でも、遊びたいって言ってるの。」
太一は無邪気に笑いながら言ったが、僕たちの心に不安が広がった。
「早く寝ないとお化けが来るぞ。」健太は冗談めかして言ったが、その声はどこか焦っていた。
再び部屋に戻ると、急に静けさが支配し、僕たちは何事もなかったようにテレビを見ながら過ごしていた。しかし、耳には微かな音が響いていた。
午前一時を過ぎた頃、突然玄関の扉が開く音が聞こえた。
誰かが帰ってきたのかと思い、話し声を耳にした。
「いや、盲腸だったんだ。」
その声は叔母の旦那だった。
しかし、何かが違和感を覚えた。声が高く、どこか冷たい響きがあった。
「子供の方は今、寝ているのか?」
その後、会話が続いたが、耳鳴りのような雑音が混ざり、意味を成さなくなった。
その後、僕は気を失ってしまったらしい。
目が覚めると、すでに朝だった。身支度を整え、家族と共に葬儀場へ向かった。
旅館に着くと、叔母の旦那が待っていた。
後日談:
後日談はまだありません。
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