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鬼ごっこの呪い
煙 1日前
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私が子供の頃、小学校の裏庭には不気味な伝説があった。遊びの一環として行われる鬼ごっこには、特別なルールが存在していた。それは、鬼が捕まえた子供が「椅子に座る」まで逃げ切ることができなかった場合、その子供は鬼の仲間になるというものだった。
ある日、私たちはいつものようにその遊びを始めた。仲間の中には、特にSという女の子がいた。彼女はいつも鬼になりたがり、目が真剣だった。彼女はそのルールを誰よりも信じ、執着していた。私たちはその姿を見て笑ったが、心のどこかで恐れを抱いていた。
しかし、その日、何かが違った。Sが鬼になったとき、私は彼女をからかうように「タッチして逃げる」という悪戯を思いついた。彼女が追いかけてくるのを見て、私は楽しんでいた。けれど、Sの目には冷たい光が宿り、その姿はまるで本気の鬼のようだった。
彼女が私を追う中、友達の一人が「もうやめようよ」と言った。しかし、私はそのまま逃げ続けた。結局、Sは私を捕まえ、私は恐怖に体が硬直してしまった。彼女は手を伸ばし、私の腕にタッチした。すると、その瞬間、何かが変わった。私は恐ろしいほどの焦燥感に襲われた。Sは私を強く引き寄せ、笑顔を浮かべながら言った。「今からは、私もあなたの仲間だから。」
その後、私たちはしばらく遊び続けたが、Sの様子はどんどんおかしくなっていった。彼女はいつも椅子に座っているようになり、周囲との関わりを絶ってしまった。
年月が経ち、私たちは大人になった。しかし、私の心にはSの存在がいつもあった。彼女のかつての執着が、今も私を苦しめているように感じた。私もまた、周囲の人々と距離を置くようになり、椅子に座り続けることが多くなった。
今になって、あの日のことを思い出すと、私は彼女のことを馬鹿にしていたはずが、自分自身も同じ境遇に陥っていることに気づく。Sが鬼になった理由も、私がその遊びを楽しんでいた理由も、今では全てが曖昧になっている。
“鬼ごっこのルール”は、私たちの心の奥で今も生き続けているのだ。生きたまま、彼女と同化してしまった私の心の中に、彼女の呪いが残っている。だが、誰もがそのことに気づかないまま、静かに日々を送っている。
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