
友人のBから引越しの手伝いを頼まれた。面倒だが、日給1万と食事を奢ると言われ、重い腰を上げて手伝うことにした。大学を卒業してから2年も会っていなかったため、彼と再会するのは久しぶりだった。
引越しの理由を聞くと、転職をするためとのこと。「まだ2年しか経ってないのにもう転職かよ」と軽口を叩きながら、作業を始めた。家具や家電は新しい場所に揃えるとのことで、俺がやるのは不要なものを分ける作業だった。ひとり暮らしのわりに物が多く、Bと分担しても作業はなかなか進まなかった。
2時間ほど作業したところで、Bが「段ボールが足りないから、近くのコンビニへもらってくる。お前は休んでいてくれ」と言い残し、出かけて行った。広くなった部屋で寝そべっていると、ふとBの持ち帰る荷物の中に古い日記が目に留まった。どうやら高校時代のものらしい。
懐かしさにひたる暇もなく、日記を手に取った。タイトルには「日記」とだけ書かれている。ページをめくると、最初の日付は「20××年 4月6日」。
「今日から高校生だ。新しい環境に不安もあるけど、頑張って日記を書いていこうと思う。」
Bの字でそう書かれていた。悪趣味だと思いつつ、暇つぶしにとページをめくり始める。自己紹介や友達ができたこと、高校最初のテストでの成績など、懐かしい思い出が綴られていた。最初は頻繁に書かれていたが、徐々に更新が減り、年が明ける前には書かれなくなっていた。白紙のページが続く中、ふと黒い線が視界に入った。何か書いてあるのかと探してみると、日付は「20□□年 3月22日」。
「〇〇に日記を見られた」
その瞬間、心臓が凍りつき、ノートを閉じて元の場所に戻した。Bに「急用ができたから帰る」とだけメールを送り、急いで部屋を後にした。鍵はかけたが、その時はそれどころではなかった。それ以降、Bとは会っていない。正直、Bの悪戯であってほしいと願っているが、彼はそんな人間ではないと思っている。
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