
長編
古い一軒家と階段の上の三男
匿名 2021年4月19日
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これは18年ほど前
私が体験した実話です。
両親が離婚して
自分を含む子供3人が母親と
母の故郷で生活することになりました。
最初は町営住宅に住んでいましたが
ありがたいことに
祖母の知人から一軒家を格安で
貸していただける事になった為
引っ越しをすることにしました。
引っ越しの前日、
家の掃除をするために
新居に行ったのですが
どう見ても古い家で
お世辞にもきれいな家とは
言えない家でしたが
一軒家ということもあり
1人部屋がもらえる私にとっては
夢のような家でした。
玄関をあけると母親が
「お前達!2階に行って部屋見ておいで!」と
言われたので、
私を含む三人が勢い良く2階に駆け上がりました。
2階には2部屋あり
1つは四畳半
もう1つは六畳の部屋で
私は1人部屋だったので
真っ先に四畳半の部屋に入りました。
ですが、すぐに見たくない物が
視界に入ってきました。
二重窓の内側の曇りガラスの中に
ハガキ?のようなものが挟まっており
確認すると見知らぬ老夫婦の白黒写真でした。
もちろん、以前そこに住んで
居たであろう老夫婦なのは
誰でも予想が出来るであろう。
でも、気持ちの良いものではありませんよね。
ですが、遠方でご健在と言う話を
聞いていたので、写真は処分し、
普通に1人部屋生活を満喫していました。
しかし、そこに住んで半年ほどで
ある現象が起きました。
仕事の現場が自宅近くと言うことで
お昼は自宅で食べようと思い
一時帰宅をし、テレビの電源をいれ
真夏と言うこともあり、蒸し風呂のような暑さだった為
一階の窓を全部開けることにしました。
リビング、リビングの横の部屋、
2階の窓の3ヶ所を開けて一階に戻ると
風通しを良くするために
窓を開けたはずなのに
リビングと横の部屋の間の引戸がしまっていました。
私は「あ、さっき間違えて部屋の扉閉めちゃったんだ…これじゃ風抜けないから意味ないじゃん」と思い
引戸を開けた、その時
間違いなく開けた窓が閉まっていました。
ですがそこも、私は
「開けたつもりになってたんだろう…」と
考えていましたが、
そこのドレッサーにかけてある服の全てが
窓のしまった部屋の中でバッサバッサと
大きく揺れていたのです。
真っ昼間でしたが、さすがに怖くなり
すぐに現場に戻るとこにしました。
そしてその日の仕事を終え
帰宅した母に昼間あったことを
伝えると
「え?今さら?」と…
その話を聞いた私は
「は?今さら?って何?」と聞き返すと
「この家何かいるよ?」と言われました。
なにかいるけど子供達怖がらせると
かわいそうとの事で何も言わなかったそうです。
母親もなにか感じていたのでしょう。
そしてしばらくして
友達が私の部屋に遊びに来ていて
深夜の2時頃に帰る仕度をし、
「じゃ、俺帰るわ!」と
部屋のドアノブを掴もうとした
そのとき「お前の弟ってまだ起きてるんだな…」と
言い出したのです。
そんな訳ないと思い、横の部屋を確認しに行こうとした時にあることを思い出しました。
いつも弟の部屋の扉を開け閉めするときは
立て付けが悪いのもあり、横の部屋が揺れるほどの勢いで閉めないと閉まらないのです。
ですがその時は部屋も揺れなかったのです。
でも友達は弟の部屋に入っていく姿を
扉の上の小窓から見たと言うのです。
一応確認しに行きましたがやはり私が開ける時も
扉は開きづらく、大きい音がしていましたし
2人の弟はぐっすりと寝てました。
「ほらやっぱり寝てたよ!」と
友達に伝えると
「そっか!じゃ気のせいだ!」と部屋を出ようと
扉を開けようとした友達の動きが止まりました。
「ほら…また…」
そうです。友達は見間違えてなんかいませんでした。
私の部屋の扉の小窓から
弟達の部屋に向かう人影が見えていたのです。
私が先ほど二人が寝ていることを確認した
弟達の部屋に向かう人影を…
友達は震えながら
「やっぱり明るくなるまでここに居るわ」といい
朝までゲームをして過ごすことにしました。
その日はそれ以上の事は起きませんでした。
そして、その出来事の記憶も薄れかけたある日
次男からとんでもないことを聞かされました。
ある日、次男は部活動に疲れてしまい
晩御飯も食べずに眠ってしまい
夜中の2時過ぎに目が覚めました。
シャワーを入ろうと一階に行きました。
当たり前ですが、母は寝ていたそうです。
シャワーを終え、髪の毛を拭きながら
母に目をやると布団の上に座っていたそうです。
さっきまで布団をかけて寝ていた母が
掛け布団をきれいに敷き直し
掛け布団の上に正座していたそうです。
何かに気付いて起きたのであれば
布団の中に足を伸ばして座っているのが
普通のはずなのですが、弟は確かに
掛け布団の上に正座していた母を
見たそうです。
ですが弟はまだ眠たかった為
〈母さん起きたんだ〉と思っただけで
すぐに2階に向かいました。
すると階段の窓から月明かりに
照らされる三男の人影が見えたそうです。
その時!
ダッダッダッダッダッっと階段を
かけ降りて来たのです。
次男はその三男に向かって
「お前!危ないだろ!」と
怒鳴りながら階段を振り向くと
そこには誰もいなかったのです。
次男は怖くなり階段を駆け上がり
部屋の電気を点けると
そこにはぐっすり眠った三男がいたそうです…
次男が見た人影と
私の友達が見た人影は
同じものだったのか、
それとも別の何かだったのか…
今は取り壊された為
事実を調べることは出来ませんが
私が経験した人生で一番怖い話でした。
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