
俺は三度の飯より鉄道が好きな熱心な鉄道ファンだ。
鉄道ファンにも、乗り鉄、撮り鉄、模型鉄などがあるが俺の場合は全てやっていた。
そのため常識では考えられないくらい鉄道に時間と金をかけてきたし、今でもそれは変わっていない。
高校は共学に進んだが、鉄道研究部に入った俺に女の子たちは見向きもしなかった。
てか俺も興味なかった。
デートに行く金があるなら電車に乗りに行きたかったから。
趣味の延長で物理が得意だったので、大学は工学系に進んだ。
大学は工学部にも女子は少なからずいるし、文科系の学部もあるから女の子との出会いはない訳ではなく、好きな子がいたこともある。
だがろくに女性と関わったこともないため、会話が続かず、彼女ができることはなかった。
大学を卒業後、俺は平凡なサラリーマンになった。
仕事に意欲や生きがいなどはなく、可もなく不可もなく生活を続けていた。
いつまでたっても彼女はできなかったし、できるための努力すらしなかった。
唯一の楽しみはやはり鉄道だった。
一人暮らしを始めた俺は部屋が鉄道のグッズで溢れていた。
土日休みのうち一日は電車に乗って遠出していた。
もう一日は家で写真の編集や模型の製作をしていた。
31才の秋の3連休、俺はいつものように旅に出ていた。
場所は地元から500km以上も離れたところだった。
俺は、JRの特急で終点まで行くために駅で列車を待っていた。
いつものように列車が入ってくる様子を撮るためにホームの端っこにいた。
すると、ショートヘアの若い女性が俺と同じように列車の写真をスマホで撮っていた。
その女性は列車の正面だけならまだしも、列車の行き先標示や車番まで撮っていた。
俺は「鉄子ってやつかな」って思っていた。
特急列車の指定席に座る。
すると開いたドアからさっきの女性が来た。
女性は俺の方を見た。
さっき会ったことに向こうも気づいたのかもしれない。
女性は偶然にも俺の少し離れた席だった。
俺が乗った駅から終点まで特急で2時間以上かかる。
途中で大きな駅がいくつかあり、そこで大部分の乗客が降り、1時間後くらいには同じ号車の乗客は俺とその女性だけになっていた。
俺が車内を見渡したときその女性と目があった。
そして女性は立ち上がり
「旅行なんですか?」
と話しかけてきた。
俺はびっくりしながらも
「そうですけど。」
「どちらまで行かれるんですか?」
「Xまでです。」
「そうなんですか?私もなんですよ!」
嬉しそうに言う女性。
俺は女性の通路を挟んで反対側の席に座った。
後日談:
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