
中学生の頃の男の先生で、大変子煩悩な方がいました。
とにかく自分の子ども(娘)を溺愛している先生で、休み明けの授業の時は毎回「昨日は※※に連れて行って楽しかったよ」と話すのが日課となっていました。
別に悪いことではないのですが、しつこい位に小学生の娘さんの話を毎回するので、クラスメートの中には、うんざりしている生徒もいました。
ただ教え方は丁寧でしたし、人柄も温厚な方でしたから、卒業まで特に問題などはなく、卒業しました。
そして卒業して何年も経ったある時、当時仲良くしていた友人とたまたま駅前で再会して、その先生の裏の顔を知ることになったのでした······。
その友人とは高校が別々だった関係で、自然と中学生の頃の話題になったのですが、その時に、例の子煩悩な先生のことを話だしたんです。
「ねえ、※※先生のこと聞いた? 私、この前初めて知ったからめちゃくちゃ驚いたんだけど?」と友人が言ってきたので、私は「なんのこと?」と訊ねました。
すると友人は、例の子煩悩の先生には溺愛していた娘さんなんかいなかったのだと言うのです。
そもそも結婚すらしていない独身の身で、今も学校の近くのアパートで一人暮らしをしていると話していました。
意味がわかりませんでした。
中学生の頃、散々授業中に娘さんの習い事の話や遊びに連れて行った話を細かく話していたのに、それが全部嘘だったと言うんです。
正直、友人の勘違いだと思いました。
あれだけ三年間話していた娘さんの話が全部嘘だったというのが、信じられなかったんです。なんなら、娘さんの名前を覚えていたし、私と誕生日が近かったので、誕生日も覚えていたんです。
それらが全て嘘だったなんて、当然信じられませんでした。
だけど友人は話を続けました。
その先生の従兄弟と知り合いになって聞いたところ、間違いなく独身で娘さんなんていないと言われたらしいのです。
しかも、その話を聞いて少しして、たまたまその先生と再会したので「※※さんという方から、先生が独身で娘さんなんかいないと言っていたんですが、それは本当ですか?」と訊ねたところ、「実際にいるかと言われたら、いないことになるんだけど、いてほしい気持ちがあるんだよね」と意味不明なことをあわてた樣子で話した後、逃げるようにいなくなったと言っていました。
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