新着 短編
寝台特急の景色の中の女性

俺も妻も50代で子供たちは社会人や大学生だがそれぞれ独立していた。
俺は妻と久しぶりに旅行に出かけた。
寝台列車で西日本の観光地へ向かう。
列車は早朝に最初の目的地に着くが、終点まで行く場合はさらに3時間程かかる。
現地に着くまでは割と時間がかかるが、逆に言えば朝はのんびりとできる。
普段の会社のある日よりもずっと遅い時間に起きて、のんびりと列車の景色を眺める俺たち。
ときどきトンネルに入り窓に反射した顔は俺自身も妻もだいぶ老けていたが、長い間連れ添ったことを実感させる。
山の中を走る寝台特急の中で、朝の景色をながめていた。
妻ととも長閑な景色を眺めていた。
しばらく進むと、線路沿いの小高い丘から30前後くらいの女性が俺たちの方を見ていた。
女性はずっと立ったまま寝台特急を眺めているようで、近くは民家もない場所で明るくなった朝とはいえこんなところで女性が1人で?と少し不思議に思った。
あたりは寝台列車の走行音が響き外の景色がずっと流れていた。
そしてしばらくすると、谷川の近くでまた女性が俺たちの方を見ていた。
服装といい雰囲気といいさっきの女性と同じだった。
寝台特急は山の中でも結構スピードが出ているので、車などで先回りして追いかけるのは簡単ではなさそうだ。
俺はたまたま似た女性がいただけかなと思っていた。
そしてしばらくすると
「あなた。あの女の人がまた・・」
妻に言われてみると、またさっきの女性が広い畑の中から俺たちを見ていた。
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