
長編
境界戦線
匿名 3日前
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上を向いてくれ」言われるまま何をやらされるのか不安になりつつ上を向くと、おもむろに身体をロープのような物できつく柱に縛られた。「え?!先輩?ちょっと」先輩は黙々と私を縛り上げ、口まで塞がれた。「うん、まぁ大丈夫だろう。目を開けていいよ、楽にして」何が大丈夫なのか?キタジマさんは満足げに微笑むと後からやってきた屋敷の主人と共に祭壇のような物をせっせと準備している。
祭壇に囲まれて、縛られていよいよ嫌な予感しかしない。「贄も準備できたし、日もそろそろ沈むし、そろそろ仕上げをお願いします。」「承知しました、しかしよくすぐに見つかりましたね。」などと、話している!ニエって聞こえたが気がするが、気のせいだと思いたい。
主人は私を囲んだ祭壇の四隅にお札の下がった短く切った竹を地面に突き刺し、一礼して去って行った。
キタジマさんが腕を組んでしばらく首をかしげていると、やおら一陣の風が吹いて私を中心に巻き上がった。ニッコリと満面の笑みで私に近づき言った。「アイツらは煙草の煙や臭いを嫌っていてね、今のでだいぶ薄まった。それに君の匂いも風に乗って広がってくれた。アレをおびき寄せやすくなった、実に素晴らしい!」アレが来るのか?!必死にウンウン唸る私を横目に実に愉快そうだ。うすうすそんな気がしていたが、間違いない、砂かけババアの事だ。今の話で前回の仕事がなんだったのか察してしまった。先輩の本来の目的は私の匂いを奴に覚えさせる事だったのだ。そして、あの時のお札はわざと気配を消して奴に匂いを印象づけたかったのかもしれん。
日が山に隠れ一気に空が暗くなった。と同時にバラバラと砂が地面に落ちる音がし出した。アレが来る。辺りが静かになって、砂の落ちる音だけがする。キタジマさんは山の方角を静かに見てめている。私も首を捻って西を覗く。暗がりの中から赤ベコのように大きな頭を上下に揺らし、時折顔を空に向け鼻をヒクヒクさせながらこちらに向かってくる、実にゆっくりと。ギラッと鎌が光った。案の定、持っていやがる。俺を刈れる事が嬉しいかのように左右にヒュンヒュン振り回して近づいて来る。私の四方に置かれた札は結界か何かだろうな、奴は入ってこれないんだろう。そう願う。
砂が地面を叩きつける音が強くなってきた。そしていよいよ祭壇のそばまできた。鼻をクンクンさせ、やおら私の方を向く、しまった!直面してしまった。ババアはやおらニヤ〜と笑った。そして何事もなくズイッと祭壇の
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