
小田さんは冬になると、翌日の仕事が休みの場合、真夜中から夜明け前の廃校を訪れることにしている。
なぜなら、小田さんはかつての教室や廊下に残された古い文化財を探すのが趣味だからだ。
自宅から車で30分ほどの場所にある廃校を主な探索地にしていたが、少し先に、無人の山道沿いにある別の廃校を見つけたのだ。
その山道を昼間に通りかかった際、朽ちた看板が目に留まった。
「この廃校も行ってみたい」と思い、翌日の夜、懐中電灯を持ってやってきた。
「ワクワクして向かったんですが、校舎は静まり返っていて、教室には何も残っていなかったんです。」
期待していた分、肩透かしを食らった小田さんだが、すべての部屋をチェックすることにした。
「最後の教室を覗いていると、背後で何かの気配を感じたんです。」
振り返ると、誰もいない。特に気にせず、教壇の方を懐中電灯で照らしていると、
【ねぇ、何がいるの?】
と、背後から声が聞こえた。
「驚いて振り返ると、網と虫かごを持った10歳くらいの少女が立っていたんです。」
小田さんは驚き、言葉も出ず、体が動かなくなった。時間は深夜2時を回っているはずだった。
【私にも見せてよ】
少女はそう言ったが、その口元は笑っている様子で、彼女は動かずにいるのに声だけが聞こえた。
「無言でその少女の横を通り過ぎて、2,3歩進んだところで、全力で廊下を走り出しました。」
【待って、そこは危ないよ】
声は遠くなるどころか、小田さんの耳元で響き続けた。
校舎の出口に手がかかる頃、少女の声が耳元で響いてきた。
「外に出て、すぐに車のエンジンをかけ、急いで走り出しましたが、廃校を過ぎる時が怖くて…」
ただ目の前だけを見て、その廃校を通り過ぎる瞬間、視界の端に何かが映った。
「見てはいけないと思ったんですが、目がいってしまったんです。校舎の陰から、さっきの少女が目を見開き、悔しそうな表情でこちらを見つめていたのが、一瞬、目に焼き付いたんです。」
そして、
「最初は普通の子供のようだったのに、その時の彼女の顔は真っ白で、目は真っ黒でした。」
小田さんは叫びながら廊下を駆け抜け、叫び声に少し遅れて、
【待ってよ】
と少女の声が車内に響いた。
小田さんはもう二度とその廃校には近づかない。
後日談:
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