
中編
踏み入れてはいけなかった場所
匿名 2021年6月8日
chat_bubble 1
7,236 views
俺の家ってさ、凄いボロだったんだよね
だからやたらと修正跡が酷いんだよ
だけど赤ん坊のころから住んでたから違和感ないし気にもせず過ごしてた
そんな俺でも異常だなって思う場所があって。
じいちゃんの墓の近くにある蔵。
なんつーかさ、そこだけ次元?空間?が違うって感じ(笑)
ばあちゃんにも絶対近づくなってこっぴどく言われててさ。
そんなとこ言われなくても近づきたくないって思ってた。
まだ暑い夏の日のこと
俺と兄貴でボールで遊んでたんだよね。
だけど兄貴が思いっきり投げやがって
じいちゃんの墓の方まで行っちまったんだよな
1人で取りに行くのも1人で残っとくのも嫌だから兄貴と取りに行ったわけよ。
そんでまあ取ったんだけどじいちゃんの墓の近くだから蔵もあるわけよ。
ものすごいどよーんとした空気が流れてる上に蜘蛛の巣もビッシリ
一刻も早くその場離れたかった
そしたら突然兄貴がさ
「この蔵 入ってみない?」とか言い出して
俺全否定。
だけど1人で家まで帰れないし、兄貴は鍵を壊さんとばかりガチャガチャやってるし
当時小一の俺には止められんし無理
まあ長年放置されてただけあって鍵脆くて
思いっきり大きな石 二、三回振りかざしたらぶっ壊れたわ
そんでまあズカズカ入ってく兄貴とどうしようとなくて兄貴にくっついて入る俺。
もう夕方で暗くてあまり見えてないし覚えてないけど中はかなり埃っぽいし散らかってる。
物置的な感じだった。
数分程度回って出ようとした時兄貴が突然
「お前誰だよ」とか言い出した。
言ってる先は蔵の端っこ
兄貴は汗だくで恐怖の眼差しで見てたよ。
「お兄ちゃん、何してるの?もう帰ろうよ」って俺が言っても言葉を繰り返すだけ
兄貴には何が見えてんだろうって恐怖と不安が入り交じった
「お前誰だよ!出てけよ!!どっか行けよ!!!」ってどんどん声が大きくなっていくから俺もう半べそ
いつもお兄ちゃんじゃないってすごい焦ってた
兄貴の大声と俺達がいないことに気付いた、
ばーちゃんと母さんと近所のおじさん(二、三人?)が蔵に来た。
ばーちゃんは世界の終わりのような顔をして急いで走って俺と兄貴の手を引いて外に出した
その隙に母さんが蔵の扉を閉めて、おじさんたちが板で扉を封じてた
色々なことが起きて頭がパンクしてた俺が気付いた時には車で数分のお爺さんの家にいた
母さんとばーちゃんは泣きながら
「憑かれているかもしれない」「助けてくれ」「祓ってやってくれ」とお爺さんに話してた
その後はすげー呪文みたいなの唱えて、お守り渡されて、トントン拍子
物凄く恐怖、激怒、不安、哀絶にまみれてた兄貴の顔も少し安らいでた
その後俺は母さんと父さん、兄貴と一緒にばーちゃんち離れて都会に移り住んだ。
今まで話したことは俺の少しの記憶と母さんに聞いた話をまぜたものな。
俺が成人してふと、この出来事思い出してさ。
母さんに聞いたわけ。
なんで引っ越したか聞いたら
「バレないようにするため。」って言われた。何から?
だけどあの蔵について聞いても母さんは何も答えてくれなかった
ばあちゃんも3年前に他界。
この出来事を知るのは母さん、俺、兄貴だけになった
この前兄貴と飲む機会があったからこの話したんだよね。
ついでに兄貴は何に怒鳴ったたのか聞いた。
兄貴はこう言った。
「俺さ、なんであの蔵に入ろうとしたか分からないんだよね。」
「え?兄貴が言い出したんじゃん」
「いや、なんて言うか近づくまでは絶対入りたくないって思ってたのに近づいた瞬間、何かに呼ばれるみたいにすーっと意識が蔵に行ってさ。
何故かは分からないけど踏み入りたかった」
何だかこの瞬間嫌な気がして俺は兄貴に話を辞めるよう促そうとしたがおそかった。
兄貴は震えながら話した
「そこで見ちゃったんだよ。"アイツ"をアイツはフタバ(俺)を連れ去ろうとしていて。
だけど絶対やばいって思って。止めてたらいつの間にか標的が俺になってて…
ばあちゃんが来た時は凄い安堵したよ。
アイツが嫌そうな顔してたから。」
「だけどさ、終わんなかったんだよ。
あのお爺さんちの行く途中もずっとずっとアイツの顔が離れなくて!」
「今も忘れられないんだよ」
またすぐ俺達を狙いに来るんじゃないかって…ね。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(1件)
コメントはまだありません。