中学生の時に友人が体験した不思議な話です。友人の名前をAとしましょう。 Aは私の家から歩いて5分ほどの所にある白くて綺麗なマンションの4階に住んでいます。地元で開催されるお祭りに行く為に近所のリサイクルショップで赤くて可愛い浴衣を一着購入しました。その浴衣をAが見た時に一目惚れし、思わず買ってしまったのだそうです。 お昼頃にAから私にメールが届いて、浴衣の写真が送られてきました。浴衣の模様が見やすいようにソファーに広げて掛けられています。本人は浴衣を着ていないのにソファーに掛けられた浴衣から誰かの手と足が出ていました。 驚いた私はAに電話で写真の浴衣から誰かの手と足が出ている事を伝えました。その瞬間、電話口から悲鳴が聞こえてきました。電話をしながらAが外に出るとマンションの通路で管理人が座り込んで青ざめた顔で隣の部屋を指差していました。何事かとAも中に入ると隣の部屋に住むOLの女性が目を見開いたまま首を吊っています。 しばらく女性の姿を見かけなかった上に、異臭がすると連絡があった為、マンションの管理人が訪ねると返事がありません。ドアの鍵が開いていたので中に入ると、既に女性は首を吊って亡くなっていたそうです。その日のうちにAは購入したばかりの浴衣を購入したリサイクルショップへ返品しました。中学卒業前に一度Aの家の前を通りましたが、外壁はボロボロで一概にも綺麗とは言えず、誰も住んでいない感じで寒気がしました。それからAと遊ぶ事は無くなりました。 中学を卒業すると同時にAは引っ越し、連絡が取れなくなり、今ではどこに住んでいるのか分かりません。そして何故かAが住んでいたマンションの場所も、Aの名前や顔も思い出せず、同じ中学を卒業したのにも関わらず卒業アルバムにも載っていませんでした。あれは一体誰だったのか。卒業式の日にAと一緒に親が撮ってくれたはずの写真も写っていたのは私1人だけでした。親に聞いても誰か分かりませんでした。 Aが購入した赤い浴衣と女性の自殺、何か関連があるのか、名前や顔も思い出せない事についても今となっては分かりませんが、リサイクルショップで販売されている赤い浴衣には、お気をつけて。