
秋の薄曇りの日、山間の小さなカフェ「森の香り」は、静かな時間が流れていた。店内には、数冊の本が無造作に積まれ、窓の外からはかすかな風の音が聞こえる。
令和5年10月15日、午後8時。カフェの外にはまだ明かりが灯っているが、訪れる客はほとんどいなかった。大学生のアルバイト、田中は、店内の掃除を終え、カウンターの後ろで携帯を見ていた。
その時、外のドアが開く音が響いた。ガラガラという音と共に、田中は驚いて顔を上げた。薄暗い店内に、ひとりの女性が入ってきた。彼女は長い黒髪を垂らし、白いブラウスに黒いスカートを着ていた。何か不気味なものを感じたが、田中は気を取り直し、微笑んで声をかける。
「いらっしゃいませ。何をお求めですか?」
女性は無言でカウンターに近づき、じっと田中を見つめた。田中はその視線に圧倒され、少し後ずさりしてしまう。すると、彼女はポケットから古い写真を取り出して見せた。「これ、見たことある?」
田中は写真を覗き込む。そこには、数年前にこのカフェで働いていた先輩の姿があった。しかし、彼女の顔は見覚えがあったが、何かが違った。左半分の顔が異様に歪んでいる。
「えっと…これは、あの先輩ですか?」
女性は頷き、「彼女がいなくなった日、あの日も雨が降っていたの。」と呟いた。田中は一瞬、心臓が早鐘のように鳴った。何か不気味な予感がした。
その瞬間、店内のBGMが途切れ、耳鳴りが響いた。田中は慌てて耳を塞ぎ、目を閉じた。次に目を開けた時、女性の姿は消えていた。しかし、カウンターには彼女が置いたままの古い写真が残っていた。
田中はしばらくその場に固まっていたが、またお客が来るかもしれないと考え、写真を拾い上げた。すると、外から車のエンジン音が近づいてきた。ドアが開く音がして、今度は若い男性が入ってきた。彼は明るい声で「雨がすごいですね!」と話しかけてきたが、田中はただ無言で写真を見つめていた。
しばらくすると、田中はその男性が注文したコーヒーを淹れ始めた。だが、心はさっきの女性のことが気になっている。彼女は一体誰なのか、何を求めているのか。
「すみません、その女性、見かけませんでしたか?」と田中は思わず聞いてしまった。男性は首を傾げ、「誰ですか?」と答えた。田中はその答えに驚愕した。女性の姿が思い出せないのか?
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