
修司は、雪がちらつく冬の午後、古びたアパートの廊下を一人で歩いていた。今日は、部活動が長引いたため、いつもより遅く帰ることになった。
「早く帰って、あかりとゲームしよう」
そう思いながら、修司は足を速めた。
アパートの階段を上がる途中、修司はふと立ち止まった。
廊下の突き当たりにある古い収納室の扉が、少しだけ開いているのが目に入った。
「誰かいるのかな?」
修司は気になって扉に近づき、声をかける。
「誰かいるの?」
返事はなかったが、扉の隙間から微かに古いおもちゃの音が聞こえてきた。
「まさか、あかりが遊んでいるのか?」
そう思い、修司は扉を開けて中を覗いた。
そこには、埃だらけの部屋と、壊れたおもちゃが散らばっていた。
しかし、なぜか一つだけ、無傷のおもちゃの人形が真っ直ぐに修司を見つめていた。
「気味悪いな…」
修司は背筋が寒くなるのを感じたが、無視して部屋を出た。
外に出ると、外の静けさがより一層不気味に感じられた。
部屋に戻る途中、修司はふと振り返ると、あの人形が今度は廊下の真ん中に立っているのを見た。
「まさか、動いてるのか?」
思わず声を上げると、すぐにその人形は消えた。
「そんなはずは…」
修司は不安に駆られ、急ぎ足で自室へ向かった。
部屋に入ると、妹のあかりが心配そうにこっちを見ていた。
「兄ちゃん、遅かったね。何かあったの?」
修司は言葉を失った。
その時、背後から冷たい風が吹き抜けた。
振り返ると、誰もいないはずの廊下に、またあの影が見えた。
「みつけた」
その声が修司の耳に響いた瞬間、部屋の中からあかりの悲鳴が聞こえた。
修司は恐怖で動けなかった。
その時、やっと気づいた。
あかりの後ろに、あの人形が立っていたことに。
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