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長編

見間違い

匿名 2023年5月10日
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これは私が20歳になったばかりの頃に 体験した話です。 就職して仕事にも慣れてきた頃、 友人からラインで「クラス会あるけど行く?」と 連絡がありました。 詳しく聞くと、高校の時の同じ学科のクラス会なんだそうで 20人程度参加するらしく、私もその話を聞いて暑かしくなり 参加することにしました。 その後、クラス会のグループラインに招待され 会場と日時を確認しました。 会場の場所も都心の割といいとこだし、 久々にクラスメイトたちと会えるのもあって 内心ウキウキでその日を待ちました。 当日、会場の近くまで来ていると同じく 会場に向かうクラスメイト数人を見つけ、 当時のノリで挨拶を交わし、一緒に会場へ向かいました。 会場にはすでに、多くの顔なじみが揃っていて 席に着くや否いや「ひょっとして●●か?」とか 「おぉ〜久しぶりじゃん!」などの声がかかりました。 全員が揃った頃、幹事の女子が会場とドリンクやらの の説明をして、それぞれがカウンターでドリンクをもらい 乾杯の流れに。 女子の多い学科だったこともあり、賑やかで楽しい 雰囲気の中時間がすぎて行きました。 ドリンクがないのに気付き、私がカウンターに向かうと 今まで座っていた席の斜め前の席に、見覚えのある 女子が座って隣の子と話していました。 その子は私のいわゆる元カノです。 明るくて当時と何も変わってないように見えました。 「今の今まで気づかなかったけど、彼女も来てたのか。」 そう思いつつ、ドリンクを片手に席に戻りました。 私がその子に話しかけようとすると、 その子は少し黙ってこちらを見つめてきました。 「今更高校時代の元カレから話しかけられたくもないよなぁ。」 そう察した私は、それ以上彼女には声をかけませんでした。 気づけば、あたりは真っ暗で時計の針は夜中の11時をさしていました。 幹事の女子たちがお開きですと締めの言葉を述べて、 それぞれ仲の良い友人たちと会場を後にしました。 建物の外に出るとタクシー待ちをしている子たちと、 二次会はどうするか?を話し合っている子たちがいました。 私は一次会で帰るつもりだったので、 その場の余韻に浸りつつ、友人たちとだべっていました。 途中で飲みすぎたのかトイレに行きたくなり、一度建物内に戻りました。 トイレのある廊下を歩いて行くと、ふと元カノのあの子が 女子トイレから出てきて鉢合わせました。 私は軽く会釈して、男子トイレに入ろうとすると その子が駆け寄ってきて 「久々に会えて嬉しかったよ。」 と良いました。 「てっきり避けられてるかと思った。」 と私が言うと、 「昔付き合ってただけに、今更なに話せば良いか  考えてたら変に緊張しちゃって。」 と彼女はあの頃と変わらない笑顔を私に向ける。 少し談笑したあと、彼女はおもむろに手提げの紙袋を 私に手渡した。 「これは?」 「一人でいる時に開けてね。  それじゃ...。」 そう言い残し、彼女は走り去ってしまう。 私はその場で開けることはせず、トイレを済ますと 建物の外で待つ、友人たちの下へ向かった。 「おい、ひょっとして大の方か?」 「違う違う、そんじゃそろそろ帰るわ。」 「えぇ〜二次会行こうぜ〜。」 「付き合い悪いゾォ〜。」 「いやいや、俺そんなに飲めにしさ。」 私がそう言って帰ろうとすると、 近くにいた女子に呼び止められる。 「ねぇ、それどうしたの?」 「ん?あぁ〜まぁいいか、ほら高校時代に  俺が付き合ってA子っているだろ?  今日来てたみたいでさ、さっき帰り際渡されたんだよ。  まぁ当時俺があいつに貸してたゲームとか本とかだと思うけど。」 「えっあの子来てたっけ?」 「いや来てたよ?俺の斜め前の席に座ってたし。」 私がそう言うと目の前の子は不思議そうな顔をする。 「ねぇA子ちゃんって今日のクラス会参加してたっけ?」 その子が幹事の女子たちに尋ねる。 「いいや、クラス会の話が決まってみんなに流した時も  あの子はグループ内にいなかったし、  そもそも会場内で見かけてないから見間違いじゃないの?」 驚くことにその子も、元カノのA子はいなかった言う。 「えっじゃあ、あの席にいたのは誰なんだよ?」 「あたし、●●の前に座ってたけど  確かにあたしの隣に誰かいたよね。  顔をは覚えてないけど。」 「そうなの?あんなに話してたのに?」 「そっそうだっけ?酔って見間違ったんじゃない?  あれくらいの背格好の子、このクラス会にたくさんいるし。」 「じゃあ、この紙袋はどう説明する?」 私は女子3人の前に、彼女からもらった紙袋を突き出す。 「それ何が入ってんの?」 「まだ開けてないけど...。」 私は少し怖い気持ちを抑えつつ、紙袋に入っているものを 取り出した。 中には一枚の手紙と何かを包んだハンカチが入っていた。 手紙には赤い文字で 「●●くんへ 遅くなってごめん、やっと決心がつきました。」 とだけ書かれていました。 「なんだあいつ、今の今まで俺のこと忘れられずにいたのか...」 「そっちのハンカチには何が入ってんの?」 私は、目の前の女子に言われ少し膨らんだハンカチを手に取り めくって中身を確かめる。 その瞬間、その場の人間は凍りついた。 そのハンカチの中に包まれていたのは、 ・・・・人の小指だった。 私はすぐにそれをハンカチにくるみ直し、 紙袋にもどした。 「今乗って人間の...指だよね?」 「ああ、きっとアレだあの子なりの仕返し的な?  別れ切れないまま、放っておいた俺へのさ。  きっとパーティグッズかなんかだろ?」 私がそう言って、周りの女子に話していると 少し遠くにいた女子がスタスタと近づいてきて 指の入ったハンカチを紙袋から取り上げた。 「これあの子のだよ。」 「何言ってんだよ?そういう冗談はよくないって。」 「ほら、この写真見てよ。」 その子はスマホを取り出すと学生時代に撮ったであろう A子との写真を私に見せる。 「あぁA子だな。」 「この指見て、ほらネイルも長さも一緒でしょ?」 写真を見る限り、確かに彼女の小指だった。 「でも確かに、俺さっきトイレのとこで  A子と話したし、これももらったし...。」 私は背中に冷や汗を書きながら、先ほどのことを思い出す。 するとその子が、そっと私に近寄って耳打ちをする。 「あの子来れるわけないんだよ、  だってあの子は....2年前に人身事故で死んでるんだから。」 私はその瞬間全てを理解し言葉を失った。 「きっとお別れが言いたかったんじゃないかな?  何せ急なことだったし、その頃にはお互いの連絡先も  変わってただろうし。」 周りの男子も女子も私の持っていると紙袋を見ながら 後ずさる。 「そうか、わざわざ来てくれたのか。  でもさ、もうちょっと早く来てくれてもよかったよな。  まぁ、A子こう言う賑やかな場所が好きだったから  気持ちはわからなくもないけど。」 私はその場の数人とA子の供養だと言って 昔の話をして解散した。 帰りは近くに止めていた自転車に乗り 前のカゴに紙袋を乗せて走り出した。 その後、私は帰り道の最中に大きな事故に遭いました。 目を覚ましたのはそれから数日後のことでした。 病室にいた看護師に何があったか尋ねると なんでも、交差点で曲がりきれなかったトラックが 運悪く走行中の僕に突っ込んできたんだとか。 その場に居合わせた人たちや、トラックの運転手が すぐに救急車を呼んでくれたことで、一命をとりとめたのだとか。 全身包帯でぐるぐるに巻かれた私はそれから数ヶ月は 入院生活の日々でした、途中でそのトラックの運転手のおじさんが お見舞いに来てくれました。 大層気を病んでいたようで、病室にくるなり土下座をされました。 私は最初こそ腹が立ちましたが、ほぼ毎日お見舞いに来る おじさんの献身的な姿勢を見て許すことにしました。 一ヶ月も過ぎた頃、私はふとあの時の事故の詳細を おじさんに聞いてみました。 「あの日の夜は、体調も悪くなかったしトラックの整備もきちんと 行った上で走ってたから、まさかいつも曲がっている 交差点を曲がりきれずに、あろうことか青信号で渡っている 自転車に突っ込むとは思わなかったよ。」 「そうですか。他に何かありませんか?」 「...あぁそうだ、そう言えば君とぶつかる寸前に  君の乗ってる自転車の後ろに女の子がいたのが見えたんだけど  あれは彼女さんだったのかな?トラックを降りて駆けつけた時には  その女の子の姿はなくてさ、驚いたけどそれどころじゃなくてさ。」 「お...女の子ですか..。」 私はおじさんにその子の特徴を聞いてさらに確信しました。 なぜあの日に彼女と再会し、その帰りに事故に合ったのか。 そしてあの子がくれた手紙の 「●●くんへ 遅くなってごめん、やっと決心がつきました。」 その意味にやっと気づいたのです。 彼女のあの手紙はお別れの手紙ではなく、 ....私を迎えにくることを伝えるものだったのです。 その後退院して、すぐにあの時写真を見せてくれた クラスメイトに連絡し今までのことを話しました。 すると彼女はため息まじりにこう言いました。 「だってあの日は、彼女の命日だったからね。」 終わり

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