
さっき、11月の「視聴覚室のドッペルゲンガー映像」を書き込んだ、大学1年の俺だ。
あの学校の土地は、1年が終わる極寒の12月になると、今度は全校生徒が下校したあとの、あの誰もいない「真冬の終業式」の校舎で、過去最大の物理的な恐怖「怪談」が待っていた。
11月の事件のあと、集合写真を見るたびに自分の顔が歪んで見える後遺症に怯えながらも、12月下旬の終業式当日を迎えた。
通知表をもらい、冬休みの開放感に沸くクラスの奴らが全員下校したあと、陸上部の中距離をやっていた俺は、部室の大掃除と最後の片付けのために一人で居残っていた。
今回は、全校生徒が帰ったあとの静まり返った極寒の体育館で、巨大な異形に物理的にすり潰されかけた、8回目の怪談をここに吐き出させてほしい。
12月下旬の、終業式が終わった放課後のことだった。
部活の最後の仕事として、俺は顧問の先生から「体育館の戸締まりと、全ての窓の施錠、そして消灯をして鍵を職員室に戻しておいてくれ」と頼まれた。
外はすでに夕方の17時を過ぎていて、真冬の鋭い冷気がコンクリートの体育館を底から冷やし、息が真っ白になるほどの寒さだった。
広い体育館の中に人影は全くない。
俺は入り口から一番遠いステージ側の窓から順番に鍵を閉めていき、最後にステージ横の壁にある巨大な主電源のスイッチへと向かった。
カチャ、カチャ、カチャ……と、並んだ大きなレバーを順番に引き下げていく。
水銀灯が一つ、また一つと消えていき、最後のレバーを落とした瞬間、体育館全体がシーンと静まり返り、窓の外の濃い夜闇の中に完全に沈み込んだ。
よし、帰ろう。そう思って入り口の扉へ向かって歩き出した、その瞬間だった。
ガサガサガサッ……!!!
背後、誰もいないはずのステージの、あの重くて巨大な紅白幕が、何かに激しく引っ掻かれたように大きく揺れた。
驚いて振り返り、暗闇の中に目を凝らした。
冷え切った板張りの床を伝って、ズズ……ズズ……と、何か巨大な重量物が引きずられる不快な音が響いてくる。
そして、紅白幕の隙間から、ゆっくりと【それ】が姿を現した。
頭が理解を拒否した。
それは、どす黒い返り血のようなもので汚れた真っ赤なサンタクロースの衣装を着ていた。
だが、サイズが異常だった。
身長が3メートル以上あり、天井に届きそうなほどの巨躯。
何より最悪なのはその顔だった。
人間のパーツの配置が完全に狂っており、裂けた口が耳元まで広がり、ギチギチと音を立てて細かく痙攣している。
後日談:
- 俺はそのまま自転車を狂ったように漕いで家に逃げ帰った。 冬休み中、あの体育館には二度と近づかなかった。 年が明けて3学期が始まり、恐る恐る体育館を確認しに行ってみたが、非常口の鉄の扉は信じられないことに、内側から何か巨大なものが激突したかのように、不自然に外側へ向かってベコりと歪んだままになっていた。 体育館の管理をしている用務員のおじさんに、「あの扉、どうしたんですか」と聞いてみた。 だが、おじさんは首を傾げてこう言った。 「あそこかい? 風が強い日に煽られて、どっかにぶつかって歪んじゃったみたいなんだよ。古い学校だからねぇ」と、気にも留めていなかった。 【噂すら誰も聞いたことがない、俺だけを物理的に圧殺しようとした未知の呪い】だった。 あれから大学1年になった今でも、俺は真冬の静まり返った広い空間や、ステージの紅白幕を見ると、あの時の地響きと化け物の叫び声が耳の奥でフラッシュバックする。 そして、今でも12月になると、あの時スライディングした時に床の冷気で完全に凍りつきかけた両膝の皿が、どれだけ温めても真冬の氷を当てられているように、芯から冷えてズキズキと痛み出すんだ。 これが、12月。終業式直後の体育館で、俺が体験した8回目の怪談だ。 これでようやく高1の1年間が終わる。 そう思っていた俺の甘い考えを、年が明けた1月、あの学校の土地はさらに次元の違う絶望「怪談」でへし折りにきた。 次は、1月だ。
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