
(「広いホールで少女のピアノ生演奏」の続き)
・・
桜子は演奏会のホールの時計を見ながら、博正が来るのを見守っていた。
古川も桜子の様子に緊張感が高まる。
列車の出発まであと1時間。
・・
博正はずぶ濡れのまま荒い息で自転車を押していた。
そして1時間を切った。
あたりは真っ暗で、雨が容赦なく降り注ぐ。
もうだめだ・・
そんなとき、目に浮かんだのは桜子の笑顔だった。
制服姿の桜子に、吹奏楽部県大会での感動を伝えたあのとき・・。
そうだ!コミュニティセンターだ!!確か第三ホールだったか??
博正は疲労も忘れて自転車にまたがり飛ばして行った。
博正が今いる場所からコミュニティセンターは距離があるが博正は必死に自転車を飛ばした。
・・・
桜子はホールの時計を見ながら、だんだんと焦ってきていた。
列車の出発まであと40分。
博正が来るか以前に、ここを出発しないと間に合わなくなる時間だった。
古川は黙って桜子を見ていた。
・・・
博正は広い道路沿いの道を急いだ。
雨で濡れているのでリスクもあるが、それでも飛ばした。
時間はあと30分。
桜子と会えたとしても、列車に間に合うかどうか・・。
・・・
桜子は時計を見るとあと20分だった。
博正が来るか分からないし、来たとしても間に合わないかもしれない。
秒針だけが刻々と進んでいく。
あと15分・・もうだめか・・
そのときだった。
ホールの扉が開いて、博正は桜子を見た。
「桜子!ついに来たぞ!」
そう言うとひはそこに座り込み、息が荒くなっていた。
桜子は博正の方へ駆けていった。
「博正!大丈夫?」
「桜子・・ごめんな。もう間に合わないよな・・」
「いいよ!博正が覚えていてくれて、それで十分だよ!」
桜子は目に涙を浮かべて博正を抱いた。
桜子の後ろに立っていた古川は
「大丈夫です。間に合いますよ!」
「え?」
桜子が振り向くと、第三ホールの非常用の扉が開いて、大村が笑顔で手招きした。
非常扉のすぐ先は駐車場だった。
古川と大村で博正を抱えて全員が車に乗り込む。
そして大村は手際よく車を動かし、7分前には静岡駅に着いた。
「じゃあ桜子さん、博正くん、楽しんできてください。」
「うん!ありがとう!!」
車の中で少し体力の戻った博正は、桜子と寄り添いながらも駅に入っていった。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。

