
冬の夕方、私は高校の図書室で古い本を整理していた。静寂に包まれた空間で、埃っぽい本のページをめくるうちに、目に留まった古い新聞の切り抜きがあった。内容は、自分が通っていた小学校に関するもので、かつての噂を思い出させるものだった。
「この学校の図書室には、鏡の裏に隠された秘密がある。」
小学生の頃、同じようにこの図書室で聞いた話が蘇る。「鏡の前で手を叩くと、隠された何かが現れる」という噂だった。どこにでもある普通の鏡なのに、その前で手を叩くと一度回ることで、そこに何かが宿ると言われていた。実際には、誰もその現象を見たことがないはずだが、噂は広まり、いつしか友人たちはその話で盛り上がっていた。
その噂には、特に目撃例や具体的な詳細がなく、ただ「出るらしい」というだけだった。まるで、無機質な言葉が空回りしているような印象を受ける。どの生徒も、具体的な情報を持ち寄ることなく、ただ噂を繰り返すだけだった。そういった中で、私はいつもその話題から遠ざかっていた。自分が怖がりだったからだ。
しかし、何が恐ろしいかと言えば、皆がその話に夢中になっていることだった。毎日のように「やろうよ!」と友人たちが誘い合い、鏡の前で手を叩き、くるりと回る。彼らの楽しそうな姿が、私には逆に不気味に感じられた。出なかったことを喜び合う彼らの笑い声が、妙に心に引っかかる。恐怖よりも、彼らの楽しさの方が異常に思えた。
時が経つにつれ、その噂は次第に忘れ去られていった。私たちが進級するにつれ、自然とその話は消えていった。特に何がきっかけで冷めたのかは分からなかったが、当時の異常な盛り上がりは夢のように消えてしまった。そんな中、私は一人、当時のことを振り返りながらも、決してその話を他人に聞いてみることはなかった。
しかし、数年後、図書室で再びその噂を耳にした。今度は上級生や下級生から。「鏡の裏に、何かがいるらしい」と。彼らもまた、誰も試そうとはしなかったが、噂は広がり、気味悪がっていた。そうしているうちに、ある日、図書室の改装が行われることになり、古い本が処分されることになった。
そして、その改装の際に、壁の中から異物が発見された。その異物は、まるで人間の骨のような形をしており、全身が曲がりくねっていたと報じられた。
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