
俺は30才を過ぎてもフリーターだった。
昼間はコンビニのバイトをしていて、ある日いつものようにレジに立っていたときのこと。
30代くらいのふっくらした体の女性がレジに来た。
このときは普通のお客さんとしか思ってないし、相手も俺のことに気づいてないだろう。
その女性は公共料金の明細を出して料金を支払った。
見るつもりはなかったが、氏名を見ると聞いたことある苗字・・高校の同級生だった。
彼女は顔は多少年とったくらいでそれほど変わらず、体はかなりふっくらしていた。
苗字が変わらないところを見ると、独身なのかなって思った。
公共料金を支払ったあと、女性はフライドチキンを2個買って行った。
フライドチキンを1こずつ小分けの袋に入れて女性に渡すが、女性は俺が元同級生であることに気づいていないのか特に反応したりはしなかった。
フライドチキンを持って店を後にする女性を見て、家に帰ってお母さんと2人で食べるのかなぁってほのぼのとした光景を想像していた。
その後も、ささやかなながらにフライドチキンを楽しむ30代前半の娘と母を想像していた。
バイトが終わって電車で帰るとき、ふと気づいてしまった!
あの子、お母さんがいないんだ・・
俺が高校でその子と同じクラスのとき、同級生のその女の子が忌引きで数日休んだ。
当時の校内誌は生徒の訃報も載っていたが、だいぶ経ってからその子のお母さんが亡くなったことを知った。
その女の子は入学当初は真面目だったが、不幸のあった頃から髪の色や服装などが乱れはじめ、高2のときいつの間にか学校をやめてしまっていた。
高校生という時期に母を亡くすことがどんなにつらいことか、そしてその子がその後どんな人生を送っていたのか。
2個買ったフライドチキンは、もうひとつが誰のためのものなのか。
父か、兄か、彼氏か、或いは1人で2つとも食べるのか・・
少なくとも母親と2人で食べるほのぼのとした光景とは、程遠いものであることは想像できた。
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