
長編
コピペ つんぼゆすり
匿名 15時間前
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した。
仲間はみんな耳を塞いで、泣き声の方角からあとずさりはじめた。
「違う違う。だまされるな。帰り道はこっちなんだ。間違いない。逆にそっちにはあの集落があるぞ」
伯父は必死に叫んだ。
そうしている間にも、泣き声は不快な響きをあたりに漂わせていた。
伯父は一人を殴りつけて、むりやり引っ張った。
「耳を塞いでろ。いいから俺の後について来い」
そうして伯父たちは、泣き声のする方へ歩いて行った。
やがて木立が切れて森を抜けた時、そこはいつもの村外れだった。
みんな我を忘れて、それぞれの家に走って帰ったという。
僕はその話を聞いて、伯父に
「雨は?やっぱり降ってなかったんですか」
と聞いたが、伯父は首をかしげて、
「それがどうしても思いだせんのよ」
と言った。
これにはさらに後日談がある。
伯父が家に泣きながら帰ってきたとき、なにがあったのか聞かれてこっぴどく怒られたらしい。
当然もうあの森に入ってはいけないと、きつく戒められたそうだ。
そしてしばくたって、伯父はその家の当主でもあった刀自の部屋に呼ばれた。
刀自は伯父を座らせて言った。
「つんぼゆすりとは、そうしたものではない」
この刀自は僕にも遠縁になるはずだが、凄く威厳のある人だったという。
「一体誰に吹きこまれたか知らぬが」
と一睨みしてから、刀自は語りじめた。
この村はむかし、どこでもあったことだが、生まれたばかりの子供を口減らしのために殺すことがあった。
貧しい時代の止むをえない知恵だ。
本来はお産のあと、すぐに布で首を締めるなりして殺し、生まれなかったことにするのだが、おぶるくらいに大きくなってから殺さなければならなくなったときには、世間というものがある。
そこで、母親はつんぼがあやまって赤子を揺すり殺してしまうように、わざとそういうあやしかたをして殺すのだ。
事故であると、そういう建前で。
業の深い風習である。それゆえに鬼ゆすりとも呼ばれ忌避されるのだ。
「おぬし、弔いの真似事をしたそうだが、そのとき母親に情をうつしておったろう」
伯父はおもわずうなずいた。
「あのあたりに昔あった集落は、どれも貧しい家だった。とりたてあそこでは、鬼ゆすりが行なわれたはず。
いいか、浮ばれぬのは母親ではなく、殺された赤子のほうじゃ。
助けをもとめて泣き叫び、それもかなわずに死んだ赤子の怨念が、泣き声が、呪詛となって母親の魂をとらえ、この世に迷わせて離
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- この事は一切忘れると誓ったのに、覚えているは言いふらすわで草ポルポトはサル
- 逃げるとこの話しに 覚えがある 読んだ話しかな?まい
- 刀自って、女なのね(; ̄^ ̄)トクメイ
- 昔もこんなことがあったんですねブルー