
高層マンションの一室に住む僕は、冬の寒い夜に洗濯物を干していた。いつもと変わらぬ日常だと思っていたが、最近、干している最中に不思議な声が聞こえるようになった。「おやすみー」と、低い声が必ず聞こえてくるのだ。
最初は気のせいだと思ったが、洗濯物を干すときだけ聞こえることに気づき、だんだんと恐怖が膨らんでいった。ある晩、声が聞こえるたびに思わず振り返ってしまう。声の主は間違いなく隣の部屋から聞こえてくる。
ある日、思い切って隣の部屋を訪ねてみた。ドアをノックすると、隣には若い男性が出てきた。彼は不思議そうに「何か用?」と尋ねた。僕は声のことを伝えたが、彼は「そんな声、知らない」と言い放ち、こちらをじっと見つめていた。
気持ち悪くなった僕は、その後、管理人に相談した。管理人が来て、状況を説明するが、彼もまた不思議そうな顔をしていた。「隣には誰も住んでいないはずだ」と言う。確かに、あの男は見たことがない。
結局、声の正体はわからずじまいだった。あの男は一体何者だったのか。僕はその後も高層マンションに住み続けているが、今でも洗濯物を干すたびに、あの声が聞こえるのを恐れている。夜になると、声はいつも通りに聞こえてくる。「おやすみー」と。今も、隣には誰が住んでいるのかわからないままだ。恐怖が深まる冬の夜、僕はその声に怯えながら、眠れぬ夜を過ごすのだ。
それは、ただの声だったのか。それとも、何か別のものだったのか。僕は未だに答えを見つけられずにいる。声の正体は、今日もまた僕を呼んでいる。
「おやすみー」と。今も、隣には誰がいるのかわからないままでいる。
そう、隣人の声の正体を知ることはできないのだ。
いつまでこの声が続くのだろうか。そう思うと、恐怖が心を包む。
声の正体は、決して知りたくないものだったのかもしれない。
今夜も、洗濯物を干すたびに、その声が響くのだ。
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