
大学生の時、アルバイトを探していた私は、駅近の老舗喫茶店の求人に応募することにした。面接当日、私は少し早めに到着し、年代物の木製の扉を開けて中に入った。店内は、深い色合いの家具が並び、心地よい香りに包まれていた。
しばらく待つと、年配のマスターが現れ、私を奥の部屋へ案内してくれた。そこは、重厚なカーテンに囲まれた落ち着いた空間で、テーブルの上には古い本が何冊も積まれていた。マスターは、私に待つように言い残し、扉を閉めた。
静かな室内で待っていると、突然、天井から奇妙な音が響き始めた。カラカラ、ゴトゴト、バタバタ…まるで誰かが天井裏で何かを動かしているかのようだった。最初は気のせいかと思ったが、音は次第に大きくなり、まるで何かがうごめいているかのように感じられた。
思わず上を見上げる。すると、バタッ。
マスターが再び入ってくると、音はぴたりと止んだ。まるで、彼が来るのを待っていたかのようだった。この瞬間、背筋が寒くなる感覚が走った。
面接が終わり、帰路に着いた私は、ふとその店のことを調べてみた。すると、ある掲示板に「その喫茶店には、面接中に奇妙な音がする場所がある」との投稿を見つけた。投稿者は、同じように面接を受けたが、音が止んだ瞬間に何かを見てしまったと語っていた。
その投稿を読み進めると、やはりその部屋で面接を受けた彼女も、あの奇妙な音に悩まされていたという。恐怖が心の中で膨れ上がり、私はその喫茶店を避けることを決めた。果たしてあの音の正体は何だったのか。私が見えなかったものは、何だったのか。恐怖に満ちた思い出が、私の心に残り続けた。
それから数週間後、偶然その店の前を通りかかると、扉の向こうから再びあの音が聞こえた。私は立ち止まり、思わず振り返った。やっぱり、あの店には近づかない方がいい。そう思いながら、足早にその場を離れた。
何かが、私を待っているような気がした。
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