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幻の声の記録
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8時間前
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『……屠れ、屠れ……』

大学の講義室で、突然耳に響く声が聞こえた。

『前の……屠れ……あいつを……』

声、というよりも、何か不気味な音のようだった。

電波のノイズのように、かすかに歪んでいる。

『……突き刺せ、心臓を……抉り取れ……捧げろ……』

もしこれが声だとしたら、「前の席の友人を屠れ」という指示が繰り返される。

耳を疑い、指を耳の中に入れてみたが、音は変わらず続いた。

帰宅後、ネットで調べてみると、声が聞こえる現象は幻聴と呼ばれ、精神的な病の一部として知られていることが分かった。

昔は「神の声」として扱われたこともあったが、現代では病気の一種とされているらしい。

神の声というには、あまりにも不穏すぎた。

昔の解釈で言えば、悪魔の囁きのように思える。

もしこの症状を放置すれば、すぐにその声が普通のことになってしまうらしい。

普通になってしまった後は、それが幻聴だと認識できなくなる。実際に聞こえていると信じ込むようになり、病気だと言われれば反発してしまう。

何よりも恐ろしいのは、自分が病気だと気づかなくなることだ。

「……お母さん」

「どうした?」

「私、幻聴が聞こえるみたい。」

翌朝、朝食後に友人に告白した。

「耳の調子が悪いんじゃない?」

「ううん、違うと思う。」

「そう。」

友人の反応が冷たく、なんとなく不安が膨らんだ。

「じゃあ、医者に行こうか。」

「本当に信じてくれるの?」

「あなたの冗談としては、あまりにも深刻すぎる。」

不安が少し和らいだ。

「近くに精神科があるから、予約しておくね。今日は授業を休もう。」

「うん、ありがとう。」

「――よく来てくれた。偉いよ。」

精神科の医師は若い男の先生だった。

「幻聴だって?」

「はい。」

「今日、全部話さなくてもいいよ。辛かったら黙っていても構わないから。無理に話そうとしないで、次に来てくれることが一番嬉しいから。」

「分かりました。」

優しい口調の先生に安心感を覚えた。

「友人は一緒にいた方がいい?」

隣に座っている友人に、先生はちらりと目を向けた。

「はい、その方が良いです。」

「じゃあ、友人も一緒に聞いてください。」

「分かりました。」

「ただ、友人は発言しないでください。何か補足しようとか思わないで。」

「そうですか。」

友人は不満そうだったが、何も言い返さなかった。

「じゃあ、その幻聴について、話してくれるかな。」

「えっと、それは……」

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はじめまして、よろしくお願いします。

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