
高校生の頃、地元の図書館でアルバイトを始めた。
あれは今から10年ほど前のこと。まだスマートフォンが普及する前で、図書館は毎日多くの利用者で賑わいを見せていた。
業務は本の整理や貸出、返却のほか、電話応対も含まれていた。
その中で、ある晩、いつもと違う電話がかかってきた。
「はい、△△図書館です」
「ピーッ、午後10時ちょうどです」(時報のような電子音)
(時報?)「もしもし?」
「すみません、ある本の在庫を確認したいのですが。」
聞こえてきたのは中年の男性の声で、その背後には多くの人の話し声が聞こえた。どうやら、何かのイベントが行われているようだった。
「はい、書名を教えてください」
「著者は●●の△△という作品です。」
データベースで検索をかけたが、該当する本は見当たらない。
「申し訳ありませんが、●●の△△という本は登録されていないようです。」
「そうですか。」
「もう一度確認しますか?」
「いや、大丈夫です。」
その日以来、月に数回、同じような電話を受けるようになった。毎回、異なる声で、求める本も様々だった。
共通点は、必ず謎の時報が鳴ることと、電話の向こうでざわざわした雰囲気が漂っていること。
最初は気にしなかったが、次第に不気味さを感じるようになった。
図書館で本を探す際、利用者は通常、タイトルや著者名をきちんと伝えてくれるものである。
それなのに、毎回正確な情報を提供しながらも、存在しない本を探し続ける人々がいるのはどういうことなのか。
イタズラかと思い、友人に相談したが、どうやらその電話を受けているのは自分だけのようだった。
話し方はいつも丁寧で、苦情を言うような口調ではないため、「もうやめてください」と言うこともできずにいた。
結局、卒業までその図書館でバイトを続け、謎の電話に対応していたが、存在する本の名前は一度も出てこなかった。
その後、社会人になり、あの出来事をすっかり忘れていたある日、引っ越しの準備をしていると、古いメモ帳を見つけた。
その中には、受けた電話のタイトルや著者名が走り書きされていて、懐かしく思い返していた。
しかし、ふとした瞬間、あることに気づいた。
最近読んだ新刊のタイトルが、そのメモにあったのだ。
驚きと共に、他のタイトルもネットで検索してみると、発行年はバラバラだが、すべてが自分が図書館を辞めた後に発行されていた。
まさか、あの電話は未来からの問い合わせだったのだろうか。
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