
ある秋の夕方、久しぶりに実家の古い図書館を訪れた真紀は、幼い頃に亡くなった兄のことを思い出していました。兄の健太は、10年前に家の事故で命を落とし、真紀はその悲しみを抱え続けていました。
図書館の静けさの中、真紀は兄が好きだった本棚へと向かいました。両親は既に他界しており、今は真紀一人がこの場所を守っています。図書館の薄暗い照明の下、美紀は兄の好きだった本を手に取りました。
その瞬間、背後から冷たい風が吹き抜け、周囲の本が一瞬揺れました。驚いた真紀が振り返ると、そこには見覚えのある小さな影が立っていました。
「真紀…」
その声は確かに兄の健太のものでした。真紀は恐怖と驚きで声を失いましたが、影はゆっくりと近づいてきました。健太の姿は、10年前のままの幼い姿でした。
「健太…?どうしてここに…?」
健太は静かに微笑みました。「真紀、僕はずっとここにいたんだ。でも、もう一度真紀に会いたくて、こうして戻ってきたんだ。」
真紀は涙を流しながら、兄の手を取ろうとしましたが、その手は冷たく、まるで空気のようにすり抜けました。健太の目には悲しみが宿っていました。
「真紀、僕はもうこの世にはいられない。でも、真紀が幸せでいてくれることが僕の願いなんだ。」
その言葉に真紀は胸が締め付けられるような思いを感じました。「健太、私はあなたを忘れたことなんて一度もない。あなたのことをずっと思っていたよ。」
健太は微笑みながら真紀に最後の言葉を残しました。「ありがとう、真紀。僕はこれで安心して眠れるよ。さようなら。」
その瞬間、健太の姿はふっと消え、図書館には再び静寂が戻りました。真紀は涙を拭いながら、兄の好きだった本を胸に抱きしめました。健太の最後の挨拶は、真紀の心に深く刻まれ、彼女は兄の思い出と共に生きていくことを誓いました。
しかし、その夜、真紀は奇妙な夢を見ました。夢の中で、彼女は再び図書館にいましたが、そこは異様な冷気に包まれていました。健太の声が再び聞こえてきました。「真紀、助けて…」
真紀は夢の中で兄の声を追いかけましたが、どこにも彼の姿は見当たりませんでした。突然、図書館の隅から不気味な影が現れ、真紀に向かってゆっくりと近づいてきました。その影は、健太の姿をしていましたが、顔は歪んでおり、目は真っ黒でした。
「真紀、僕を忘れないで…」
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