
さっき、2月の「窓ガラスの母親の影」を書き込んだ、大学1年の俺だ。
4月から始まったあの学校の土地との狂った戦いも、これでようやく最後の怪談になる。
2月のあの卑劣な精神攻撃を舌を噛み切る激痛で跳ね除け、俺はついに3月下旬の終業式当日を迎えた。
クラスの奴らが「1年間ありがとな!」「高2でも同じクラスだといいな!」と笑い合いながら全員下校したあと、俺は1年間過ごしたこの教室に、机の奥の忘れ物を取りに、一人で戻ったんだ。
今回は、高1の最後の放課後、学校の土地そのものが俺をこの1年間に永遠に閉じ込めようとした、高一最後の、そして11回目の怪談をここに吐き出させてほしい。
3月下旬の、最後の終業式が終わった放課後のことだった。
すっかり静まり返った夕暮れの校舎。
オレンジ色の西日が斜めに差し込む1年間過ごした教室のドアを、俺はガラガラと開けた。
自分の机の引き出しを確認し、忘れ物をバッグに詰めて、さあ帰ろうと前を向いた、その瞬間だった。
キィィィィィン……ッ!!!!
鼓膜が震えるほどの強烈な耳鳴りが走り、教室の空気が一瞬で、あの4月からの不快な呪いの匂いで満たされた。
ガタガタガタガタガタガタッ!!!!
誰も座っていないはずの、教室にあるすべての机と椅子が、自発的に激しく激しく小刻みに揺れ動き出した。
恐怖で硬直する俺の目の前で、誰もいない教卓の黒板に、チョークが勝手に握られてカタカタと文字を刻み始めたんだ。
黒板に書かれていたのは、この1年間、俺がこの学校で遭遇してきた怪異たちの「特徴」や「名前」だった。
まるで出席番号のように、1番から10番まで、びっしりと白チョークで書き連ねられていく。
1. 4月:鳴り止まない音
2. 5月:天井に張り付く呼吸
……
3. 11月:視聴覚室の映像
4. 1月:コックリさんの呪い
5. 2月:窓の向こうの母親
そして、チョークは不気味な音を立てて、最後の【11番】の欄に、俺の本名を一文字ずつ、狂ったように刻み始めようとした。
それと同時に、教室の四隅から、どろりとした赤黒い影が滲み出てきた。
耳元で響く「音」、天井から聞こえる「呼吸」、背後に感じる「赤い人」や「二人三脚」の生臭い気配。
この1年間、俺を殺しかけてきたすべての怪異の残骸が、俺を囲むように教室中に集結していくのが分かった。
空間全体が激しく歪み、窓の外の景色がセピア色のまま完全に停止した。
後日談:
- 俺はそのまま家に帰り、翌日からの春休み中、学校には一歩も近づかなかった。 4月になり、俺は無事に2年生へと進級した。新しいクラスの教室に入り、黒板を見ても、そこにはただの担任の挨拶が書かれているだけだった。 他の奴らはみんな、新しいクラス替えに一喜一憂していた。 俺だけが、あの教室で高1のまま時を止められかけたんだ。 あれから大学1年になってあの土地を離れた今でも、俺は3月の終業式の時期になると、あの夕暮れの教室のチョークの音と、怪異たちが一斉に集結したあの息の詰まる絶望感が脳裏をよぎって、心臓がバクバクと暴れ出す。 正直あの時、黒板を上履きで叩きつけた瞬間の凄まじい衝撃のせいで、【右手のひらに、チョークの粉が皮膚の下に染み込んだような、奇妙な白い斑点の痕】が、今も消えずに残っている。 高1の1年間、俺が出会った11回の怪異の物語はこれで終わりだ。 だけど、俺とあの学校との戦いはこれで終わりじゃない。 この後も、さらにエグくなっていく高校2年生の時の話と、高校3年生の時の怪異についても、このまま続けて全部書いて投稿するからな。 次は高二の4月だ
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