
俺が20代後半のときの話。
彼女と遊園地に来たんだけど、閉店間際であとひとつだけ乗れるかなってお気に入りのジェットコースターに行こうとすると、彼女は乗りたくないって言っていた。
彼女は絶叫系に乗れない訳じゃないのに体調でも悪いのかなぁと思いながらも、俺は乗りたかったので彼女がお土産を選んでいる間乗ってくることにした。
ジェットコースターでは最前列に1人で乗れた。
ジェットコースターの後ろの方にはカップルが1組乗っていて他の客はいなくほぼ貸切みたいな感じだった。
俺はワクワクしながらジェットコースターが走り出すのを楽しんでいた。
このジェットコースターは、はじめカタカタカタ・・と結構な高さまで登っていく。
そして最高地点まで来ると数メートルだけ平坦な頂上を経て、そのあとは一気に何十メートルも落ちる訳だが、最高地点に来る直前のこと。
頂上のレールから女が首だけ出していた。
「え?」
って思った直後、女が首を出しているレールをジェットコースターを通り過ぎた。
ビクッとする俺だったが、女はうまくよけた(?)のか車体に何か当たる感触はなかった。
その直後、ジェットコースターが落ちていき女のことは一瞬忘れていた。
ジェットコースターが落ちてまた上がってを繰り返していた。
しばらく走ると、さっき通ったレールが上の方に見えたが、そこにあの女がいた。
女は雲梯のように両手でレールにぶら下がっていたが、レールの下は何十メートルもある何もない空間だし、他に足場がある訳でもない。
あんな場所で女がぶら下がるなど不可能で、俺はこの世のものでないものを見ていることを悟った。
ジェットコースターを降りたあと、階段を下りると彼女が待っていた。
「ねぇ、変なもの見なかった?」
やはり彼女は知っていたようだった。
後日談:
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