
長編
集落
しずく 9時間前
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り遥かに大きな鳥が暴れていた
よくみると大きな鳥は脚に短い刃物が縛ってあり
雄二は脇腹の辺りから出血し、痙攣していた
あまりのショックと恐怖に身動きが取れずガタガタ震えていると
正気を取り戻したのか弘樹が俺の手をぐっと引っ張った
「逃げよう」
弘樹に促され、震える身体を奮い立たせ
その場から離れた
自転車を隠してある場所まで戻り
少しでも早くこの場を去ろうと俺達は突走った
途中、例の集落を通ったが
皆廃屋へ行っているのか
もぬけの殻だった様子
地元まではどんなに飛ばしても1時間近くかかるが
田舎の為、駐在所も少なく、俺達は必死に自転車を走らせた
やっとの思いで地元へ帰り、俺達は見てきた事をぐしゃぐしゃに泣きながら親達に話した
母親は「あんた達、あそこへ行ったんか!?あんた達死にたいんか!?」と涙を流しながら怒鳴った
父親が警察へ通報し、少しすると、数台のパトカーが家の前を走っていく
その中の一台に雄二の母親が乗っているのが見えた
通り過ぎる瞬間、雄二の母親は俺と弘樹をじっと睨みつけていた
氷の様に冷たい眼で
目の前を通り過ぎても振り返り睨み続けていた
その目は、あの集落で見た目つきにそっくりだった
弘樹を父親の車で送り
「また明日な」と声をかけると
弘樹は少しだけ笑って見せた
弘樹を無事に送り届け家へ帰ると
親戚やばあちゃんまで来て俺は叱られた
そして父親が俺に言った
「寅、お前はまだ子供で難しい事はわからんと思うが聞いてくれ」
俺は黙って頷いた
「今日お前達が言った場所はな、日本であって日本じゃねーんだ
道路も舗装されとらん、電柱も立ってねぇ
住んどるもんをみたか?みんなまともな格好はしとらんかったやろう?
そんな土地に頑なにいつまでん住んじょる
そして”こっち側”の人間を遠ざけとるんや
あの地区にはわしらとは全く違う文化や風習があるんよ
あの地区の連中からすりゃ、わしらは敵に見えるようや
わしらはいつだって”こっち側”へ迎え入れる準備はしとる
学校へもちゃんと通えるし、仕事だってある
あの地区から”こっち側”へ来て普通に生活しとるもんもたくさんおるんよ
お前の友達の雄二んとこもそうや
ただ中には出て行ったもんは裏切り者なんて捻くれた感情をもつもんもあそこにはおる
きっと雄二は小さい頃から遊んどった場所やけん
安心して遊んでたつも
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(7件)
- 人種差別ネタは興醒めうお
- 見た事ないわ まあ田舎の中でもかなりズバ抜けた場所って感じはするが真実を知る者
- 福岡の犬鳴き村の事かな?タツ
- 聞いた事あるホラー
- 朝鮮部落のこと?たんす
- あの中に入れば生きては帰れない村ですか。全国各地に散らばってるんですよね?恐ろしいほど知ってます。体験談も恐ろしいほど見てきました。貴重な体験ありがとうございます。ぼんばー50
- 四国地方の部落でしょうか?キノピオ