
長編
もう1人のお姉ちゃん
けいすけ 3日前
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姉ちゃんの手…冷たくて気持ちいい。」
無邪気に笑う私を姉は優しい瞳で見つめ、体温計に目を移しました。
「栞のお馬鹿~‼39度もあるじゃない‼お母さ~ん‼」
姉は驚きながら下に居る母を呼びにいきました。
そのまま病院へ私は連行されました。
「だって…拓也小さいのに可愛そうだったから。」…両親や祖父母は呆れながらも優しく接してくれました。
中学生だった兄と高校生の姉は果物ゼリーと缶のポカリを買ってきてくれました。
一才違いの兄と弟は学校から帰ると私のためにコンビニからアイスやら当時大好物だったシゲキックスを買って来てくれました。
その日の晩、女の子もお見舞いに来てくれました。
目を覚ますと、枕元にいました。
「栞は優しいお姉ちゃんだね。でも、栞まで苦しんでしまうからこれは駄目だよ。まさか、本当に取るなんて。私が持って行ってあげるから。明日ゆっくり寝て目が覚めたら元気になるよ。」
と、優しい笑顔で頭を撫でてくれました。
目を覚ますと次の日の夕方でビックリしたのを覚えています。
熱は微熱でしたが、その次の日には元気になりました。
そんな出来事からまた月日がたち、色々な出来事がありました。
性犯罪に遭ったりパワハラ上司の被害に遭ったりと…色々ありましたが、必ずその女の子が夢の中に出て来てくれました。
「怖かったね。命が無事で良かった。どんなに落ち込んでも良いし泣いても良いよ。ばあちゃんとお母さんに必ず愚痴をこぼしなさい。でもね…自殺だけは許さないよ‼産まれて会えなくても、栞は私の妹だよ。大好きだよ。だから…笑顔を見せて。大丈夫…お姉ちゃん、この子の中にいて栞を守るから。この子も栞が大好きだから大丈夫。この子からみていて栞を傷付ける奴等は近寄らせないから。仕事に行くときは一緒に連れていきなさい。貴女の仕事振りを見ているわよ。」
…亡き祖父が一才の誕生日の時に買ってくれて以来ずっと可愛がる小さな犬のぬいぐるみを指さしました。
パワハラ上司は次の年に異動になり一緒に仕事をせずに済みました。
小さな頃からのそんなエピソードを母に話しました。
すると、母は悲しい顔をしながら私に告げました。
「実はね、お姉ちゃんの一つ上にお母さんは流産している子供がいたんだよ。そっか、その子だったんだね。優しいお姉ちゃんだったんだね。言わなかったけど、お母さん達のお部屋とか階段の踊り場に居たんだよ。子供の頃から栞は霊感がある子だったから心配してくれ
後日談:
- 長々とすみませんでした。 読んで下さり有り難うございます。 生まれつき不思議な勘があり、色々と体験していますが、ほとんどは亡くなった近親者や身内にまつわる不思議な体験ばかりです。 代々子供が大好きなのだと思います。 幽霊と呼ばれる存在は肉体が無いだけで私達生きている人間と変わらないと思います。 肉体が無くなっても消えない存在が具現化した姿…私はそう思います。 無責任に子供を中絶して…産んでも虐待をして命を奪い傷付ける大人達。 自分の欲望を満たすためなら性犯罪を犯し命を奪うような動物以下の鬼畜外道。 そんな人間の事件をニュースで見聞きする度に私はこの世の生まれてこれなくても、妹や叔母や姪として認識してくれて愛情をくれる人達の優しい笑顔を思い出します。 お腹に宿った瞬間から1人の人間として性格はあるのかと思います。
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- 怖い、話って言うより心が温かくなる良い話しですね。まさ
- 良かったですね…ぼんばー50
- お姉さんの愛も凄いけど、家族関係が素晴らしい、思いやりに溢れてる。私の家庭は正反対だから、羨ましい限りです。匿名
- とても、感動しました。優しいお姉さん良いですね。私にも若くして亡くなった姉が居て、もう亡くなってから10年以上経ちますが、今でも守ってくれているんだ。と、感じる出来事がたまに有ります。dragon