友人は所謂見える人らしい。 彼女いわく、幽霊は必ずしも血だらけの気持ち悪いやつばかりではなく、 普通の人間のように、実はあちこちにいるらしい。 例えば、 信号待ちをしていて、あれ？と ふとした違和感を感じて見つめると そいつの体が虹色に透けてきたり。 彼女はしばらく、 日本にいなかったけど、 先日久しぶりに帰ってきた。 実家の近くに差し掛かったとき、 ふと中学生の頃、いつもみていた幽霊の事を思い出した。 あの電柱 の下だ。 まだ、いた。 長い黒髪をたらし、 下を向いた女がじっと佇んでいる。 通りがかる人に何をするわけでもなく、ただそこにいるらしい。 あれからもう30年くらい経つのに まだ成仏できないんだよねー。 まるで知り合いの話でもするかのように彼女はそういった。