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長編

千佳ちゃん

えい 2018年1月21日
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「凄いもの 見ちゃった。」 そう言って 彼女 ( 私の知人 )が 話してくれたのは 彼女 ( 知人 )の知り合いの娘 ( 千佳ちゃん )さんの話です。 長年 病気で 入退院していたのね。 きちんと 学校に通えていれば 中学二年ぐらいかな… 千佳ちゃんは 小さい頃から 病弱で 運動が出来なくて 筋肉とかもつかないから 凄く痩せててね 身長も余り伸びなくて 小学生の高学年ぐらいの高さだったかなぁ… (病弱だという事は 千佳ちゃんのお母さんから 聞かされたらしいです。 ) 何度か会っててね。 会ったっていっても 殆ど 病院にお見舞いに行くんだけど まぁ 千佳ちゃんは元気なんだわ。 どこが 悪いんだろう?って思うぐらいに 元気な訳よ。でね 前に聞いた事 あったんだけど…口を濁されてね。ちゃんと聞けなかったんだけどさぁ。 お母さん、あっ、千佳ちゃんのね。 お母さんが病室に来るとさぁ 千佳ちゃんは わざとっぽい咳をするわけよ。 でね 今まで 元気に話してたのに お母さんが来た途端 無口になるのよ。 何か お母さんに怯えてる様な感じに見えたんだけどさっ 言わない方がいいだろうと思って 黙って帰ったのよ。 「 また来るね。 」って言ってね。 それから 一度 退院したって聞いたから 家に行ったらさぁ 千佳ちゃん寝てたのよ…。 退院したって事は 元気になったって事でしょ?普通……なのに千佳ちゃんは ベッドに横になってた訳よ。でも 具合い悪くなっちゃったのかな?って 思って また聞いてみたのよね。 そしたら 千佳ちゃんのお母さんが 寝てなさいって言ったって言うのよ。 外にも出られないらしくて 日焼けもしてないから 妙に青白い肌をしててね。 なんか 可哀想になっちゃって 千佳ちゃんのお母さんに 一緒に買い物いけないか 聞いたんだけど……物凄く怒ってさぁ 「病気の千佳を連れ回してどうするんですかっ‼」って 言われちゃって ちょっとビックリしたんだよね。 んで うちのお母さんに聞いたら 「普通の何処にでも居るお母さんよ。千佳ちゃん病気だから 色々 薬とかの勉強しててねぇ…すごく献身的な人よ。」って 言われてさぁ ちょっと引いた。 なんか 私が思ってた イメージと違うっていうか…千佳ちゃんが何で 病気の振りしてんのか?そっちの方が 気になっちゃって 私なりに調べたんだよね。馬鹿な頭使って(笑) そしたら なんかそれっぽいのあった訳よ。 「代理ミュンヒハウゼン症候群。」 読んでて 鳥肌立ったよ。だって似てるから !! 千佳ちゃんのお母さんと… 歪んだ愛情というより 献身的に看病する自分を他人に 優しいお母さん 頑張ってるお母さんって思われる為だけに 子供を病気にするって… でね また 千佳ちゃんが入院したって聞いた時に看護師さんに 千佳ちゃんのお母さんに注意しててくれって 頼んだのよね。 毎回 同じ病院に 入院するんじゃなくて 病院も転々と変えるから 何か おかしいって 病院の方でも 思われてたらしくて… だって 完全看護なのに 泊まるんだって‼ だから 何かおかしいって… それにね 大部屋には 入らずに 必ず 個室にしてくれって言うんだって… 絶対 おかしいよ…あの お母さん。 でさぁ 千佳ちゃん あれから 退院してね。 だって 千佳ちゃんは 健康で何処も悪い所無いんだから… また 遊びいくねって 千佳ちゃんに言ってたんだけど……仕事が忙しくて 中々 いけなかったんだよね。 そしたら うちのお母さんから 電話あって 千佳ちゃんが亡くなったって…。 ええっ !! 何で?って言ったら 詳しくは分からないけど 事故だったらしいって…… 何か血の気が引いたよ。 まさか‼って… お葬式に行ったのよ うちのお母さんと… そしたら 何か 会場で 騒いでて 何だろう?って思って 中に入ったら 千佳ちゃんの両親が 棺桶の蓋を全部 開けてて 喚いてるわけよ。 近くに行ったら 「最後に見てやって下さい !! 」 「事故だったんです !! 」 って両親が喚いてて 親類の人が 「やめなさい !! 千佳ちゃんが可哀相だよ‼」 って… ちょっとした修羅場になってて 流石に うちのお母さんも引いてたよ。 でね 棺桶覗いたのよ。 そしたら 全身 包帯でグルグル巻かれてて …… でも…何か手だけは綺麗でね。おかしいなって思ったんだよ。顔の所が少し見えたけど火傷っぽかったんだよね。爛れてたから… 千佳ちゃんの両親と親類の人達が 押し問答してた その すぐ後ろに 千佳ちゃんが立っててさぁ ちょっとだけ 悲しく笑って 手のひらを見せたのよね…。 それで 解っちゃったんだよ…千佳ちゃんは事故なんかじゃなくて 自殺したんだって…。 熱された油を自分で持って、かぶったんだって。 嫌だったんだろうね 。 どうにかして 逃げたかったんだろうけど… 助けてあげられなかったよ。 何か…独りで抱え込めなくて…ごめん 千佳ちゃんは 今頃 きっと 広い 広い 草原を走り回っていると思います。 もう……縛り付ける鎖は無いのだから…

後日談:

  • 実話です。

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