
埼玉県にある廃工場には、かつて「不気味な煙突」と呼ばれる伝説があった。若いカメラマンの私は、その話を聞きつけて、友人たちと共に撮影に出かけることにした。夜の闇に包まれた工場の中は、薄暗い光の中で不気味な雰囲気を醸し出していた。
「煙突ってどこにあるの?」と友人が尋ねる。工場の建物を巡りながら、私たちはある場所でそれを見つけた。それは、朽ち果てた鉄骨の中にそびえ立つ、一見普通の煙突だった。しかし、近づくにつれて、奇妙なことに気づいた。煙突は、見る角度によって形状が変わって見えるのだ。最初は一本に見えたが、少し離れると、あたかも二本、三本に見えるように錯覚した。
「本当におかしいな」と友人が言う。私たちは、撮影を始めたが、次第に不安が増してくる。周囲からは、微かな物音が聞こえ、まるで誰かがこちらを見ているような気配を感じた。友人の一人が「もしかして、誰かいるのか?」と不安を口にする。
その時、風が強く吹き荒れ、煙突の周りで不気味な影が揺れた。驚いた私たちは、慌ててその場を離れようとしたが、煙突の方から「お前たち、何をしている?」という声が聞こえた。恐怖に駆られ、振り向くと、そこには何もなかった。
私たちは急いで工場を後にし、車に戻った。しかし、帰り道、友人の一人が言った。「あの煙突、実は壊されたって聞いたことがあるけど、まだ残っているんじゃないか?」その言葉が耳に残った。
後日、調べてみると、実際にその煙突は数年前に取り壊され、今は存在しないという。だが、なぜか心のどこかで、「まだ何かが残っている」と感じていた。私たちが見たものは、ただの幻影だったのだろうか?それとも、何かが私たちを試していたのか。それ以来、私はあの煙突のことが忘れられない。あの夜、何が本当に起きたのか、今でも謎のままだ。
それから、私たちの間には、「煙突の行方」についての噂が広まり、いつしかそれが新たな都市伝説となってしまった。
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