
中編
タクシー乗務員をやっていたんだが。
匿名 2016年8月13日
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現在40代なんですが、20代の頃、仕事を人間関係から辞めてしまって、手に職もなかったので軽い気持ちでタクシー乗務員の募集に応募しました。
無事研修を終え、さぁノルマもあるし頑張るぞ!と意気揚々だったんです。
ご存知の方もおられると思いますが、タクシーって1台の車両を2人で日勤夜勤で使用するんですが、これは夜勤の時の話。
当時勤めていた会社の車両にはGPS無線が入っていて、予約が入るとそこまで誘導してくれるんです。
その日も走行中に無線が入ってきました。
無線に従って走っていると、あれ? 住宅街から離れていきます。
どんどん山の方向に向かっていくんです。
道を間違ったのかな?と思い1度車を停めてみましたが、お客様を待たせては申し訳ないとの考えから、再度誘導に従い走行していくと右手に池が見えました。
その地域ではちょっと有名な、出ると言われている場所です。
とにかく早く通り抜けようとしたのですが、GPSの誘導がそこで止まりました。
え? ここ?って思い、とりあえず車を停めました。
辺りを見渡しましたが人影もなく、1度会社に確認しようと車内に目を向けた時、目線の端に人影が。
見ると、いつの間に来られたのか、セミロングぐらいの髪の女性が立っていました。
予約の佐○木様ですか?と確認すると、頷く女性。
良かった。
とにかくその場所から離れたかったので乗車してもらい、行き先を訪ねると〇〇病院との事。
すぐに車を出しました。
あまり色々聞くわけにもいきませんので、ルートの確認だけでもと思い話かけますが、頷くだけで返事がありません。
そこから1キロほど走ったところで、不意にルームミラーを見ると、先ほど乗られた女性がいません。
横にでもなられたのかと思いシートを確認するも、やはり姿がありません。
サァーと血の気が引きました。
すぐに会社に無線を入れて状況を説明したのですが、そんな予約は入っていない。
どこに行ってたんだ?と逆に聞かれる始末。
で、場所を説明して女性の容姿などを言うと、ああ。
とにかく帰ってから説明聞くから、その地域から離れなさいと指示されました。
業務を終え車庫に帰ると、先輩社員からその日の体験は他の何人かの乗務員もしている、今度同じ事があったらまず会社に確認して、すぐに別の場所に移動する様に言われました。
いったいあの女性はなんだったのか?
未だにその容姿は思い出す事ができます。
ただ... 顔が出てこないんですが...。
その後1年ほど続けましたが、こんな経験はありませんでした。
今も別のタクシーに乗っているのでしょうね。
後日談:
- 京都での話。
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