
長編
化かす
匿名 3日前
chat_bubble 1
8,483 views
いいのに、と少し怒ったように言われましたが、私は必死に先ほどのことを伝えました。
支離滅裂な話なので最初は信じて貰えませんでしたが、淳平くんのおかしな目撃談が相次いでいたので、母は少し黙って何かを考えている様子でした。
そしてこんなことを教えてくれました。
「淳平くんが居なくなった日、淳平くんと同級生の男の子たちは下校途中に親子連れの狐を見つけたみたいで、親狐が威嚇をしてきたからみんなで石を投げたそう。
狐たちは逃げていったが、淳平くんがしつこく追いかけて石を投げ続けた。
その石の一つが子狐にあたり、親狐はそれを見てひどく淳平くんを威嚇し、淳平くんはそれさえも面白がって今度は落ちていた棒を親狐に投げつけた。
棒は狐にはあたらなかったが、狐たちは林の奥に逃げていった」
あの日淳平くんたちが騒いでいたのは、狐を見つけて石を投げていたからなんだと納得しました。
昔から狐や狸は人を化かすとは聞きますが、かといって現実味のない話に私はまた混乱しました。
母は続けてこんなことも教えてくれました。
「昔は親から狐や狸、狢(むじな)は人を化かすから気をつけろと言われて育った。
狐と狸は自分たちが作った道に誘い惑わせる、狢は人に道を作らせて悪さをし惑わせる、と教わった。
わたしが小さい頃、近所の女の子がいなくなったことがあった。
地域全体で探し回っても見つからず、いよいよ付近の山中を探すことになった。
結果的に山の中で発見されたが、人が踏み入らないような場所で泥だらけで亡くなっていた。
その子が通ったように草は倒れ泥で汚れていたが、小さな子供だったから背の高い太い草はうな垂れるようにしなっていただけだった。
近くには大騒ぎしている人間をじっと見つめる狢がいて、それを見つけた女の子の叔父さんが大声を出して追い払おうとした。
するとその瞬間、狢は大きくグゥーと鳴き、後ろ足だけで立ち上がり何とも形容し難い巨大な姿に変化したという。
そして怒号のような鳴き声を上げ、その場にいた人間たちは慌てて女の子を抱き上げて逃げ帰ったそう
」
幼い頃の記憶だから所々脚色されてるかもしれないけど、よくこの話を親と祖母が話していたと言っていました。
そしてその捜索には母の祖父も携わったそうですが、一度もその話をしようとしなかったとのことでした。
女の子はどうして死んじゃったの?と聞くと、泥を口いっぱいに含んで窒息していた、お腹には沢山の泥が入っ
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(1件)
- とても興味深いお話でした。 他の男の子達はなんともなかったのですかね…匿名