
長編
2度目に霊を見た時の話
ひろ 2019年7月24日
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以前投稿しました「初めて霊を見た時の話」から数か月。
私は小学六年生でした。
これは人生で2度目に霊を見た時のお話です。
長くなってしまいましたので、お暇な方だけ。。
当時学校の宿題で「星の観察」というものがありました。
夏の星座を観察して、観察日誌をつけろというものです。
これは子供たちにとって、格好の夜遊びの口実となりました。
私は友人数名と週に1~2度、夜に集まって、観察という口実の元、持ち寄ったお菓子やジュースを飲み食いして夜遊びを楽しんでいました。
そしてその日は、近所の中学校のグラウンドに忍び込もうという話になりました。
この中学校はグラウンドが大きくて、校舎前の第一グラウンド、そこから地下通路でつながった道路向こうの第二グラウンドがありました。
私たちが忍び込むことにしたのは第二グラウンドのほうです。
理由は、こちらのほうが広かったのと、校舎からも離れていたからです。
フェンスの一部に穴が開いており、そこから一人ずつグラウンドに入り込みました。
時刻は20時ごろだったと思います。
グラウンド内は当然人気がなく、照明も落とされているのでだいぶ暗かったのを覚えています。
「どこにする?」
「あそこにしよう」
私たちはサッカーゴールの中に腰を落ち着けることにしました。
各々がお菓子を広げ、誰かが持ってきた携帯ラジオの電源を入れました。当然誰一人星の観察などしていません。お菓子を食べ、ジュースを飲み、ラジオを聴き、下らない話で笑っていました。
はっきりとは覚えていませんが、30分ぐらい経ったころでしょうか。
トラックをジョギングする人の姿がふと私の視界の隅に映りました。
(こんな時間に走っている人がいるんだなぁ)
冷静に考えると不自然なのですが、この時の私はそんな風にしか考えていませんでした。
結構距離も離れていたし、私たちを注意する様子でもなかったので、すぐに意識を目の前のお菓子に戻しました。
そんなこんなで友人らとワイワイやっていましたが、
「ん? あの人、まだ走ってるよ」
私の言葉に、数名の友人がトラックを振り返りました。
「誰のこと?」
「ほら、トラックの向こう側。走ってる人いるでしょ。結構前からずっと走ってるんだよ」
一度見てから意識していませんでしたが、よく見ると何か動きが不自然に思えました。
白い短パンを履いて走っているのは見えるのですが、それ以外は距離があって暗かったのでよく見えません。
「ん? 誰もいないけど」
トラックを振り向いていた友人が言いました。
「あそこだよほら。暗いけど見えるでしょ?ほら、今トラックのカーブの所。こっちに向かって走ってきてるでしょ」
「やめろよー。誰もいないじゃん。怖がらせようとしてんだろー」
友人らの反応は私を困惑させました。
いや、そこにいるでしょ。ほら、こっちに来てるじゃないか。
トラックと私たちの距離が一番近づくところにそのランナーは差し掛かろうとしていました。
そこで私はハッと気が付いたのです。
足音がしない。
ゾゾッと鳥肌が立ったのをよく覚えています。
そしてそのランナーはトラックのカーブを曲がり終え、私たちとトラックの距離が最も近づく直線に入ってきました。
距離にして10メートルといったところでしょうか。
ハッキリと見えたのです。
そのランナーは、下半身だけだったのです。
白い短パンから伸びた白い脚。靴は履いていませんでした。上半身は全くない。本当に腰から下だけが走っていたのです。
「!!!!!」
私は一目散に駆け出しました。
友人たちは驚いて、訳も分からず悲鳴を上げながら私について駆け出しました。
決して振り返らずにフェンスの破れ目まで一心不乱に走り続け、グラウンドから出て自転車を全速力で漕いで、近くの小さな商店街の広場まで逃げました。
友人らも後から後からやってきて、「どうしたんだよ!」「何か見えたのか?」と矢継ぎ早に聞いてきます。
しかしこの時の私はまだ子供でしたし、とにかく怖くて怖くて、とても今見た物を口にすることなどできませんでした。
すると広場の端から一人のおじいさんが杖をつきながらこちらに向かって歩いてきました。
紳士な身なりの老人で、にこやかにほほ笑みながらやって来ます。
(ああ、叱られちゃうかな)
と思っていると、すぐそこまで来てすうっと突然消えたのです。
小6の私にはもう限界でした。
半泣きになりながら「もう帰る」とひたすら連呼し、中でも一番家が近かった友人に家の前までついて来てもらい、何とか帰宅しました。
親に今見たことを全部話しましたが、まともにとりあってもらえなかったのを覚えています。
あまりにも怖かったので、お風呂に入るときも洗面所にいてもらい、寝る時もこの日は横にいてもらったのも覚えています。
これが、私が人生で2度目に霊を見た時の話です。
とにかくあの時は滅茶苦茶怖かったなぁ・・・。
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