
私には友達のTがいた。
私は高校では人と話すのが苦手で、彼だけが唯一の親友だった。
Tは花言葉に詳しく、毎日帰り道にスミレの花についてのクイズを出し合っていた。
T「このスミレの花言葉は何だと思う?」
私「えっと……愛の思い出?」
T「惜しい!正解は、誠実だよ!」
そんな風に、夕暮れの中で楽しい時間を過ごしていた。
しかし、ある日の帰り道、私たちは小さな口論をしてしまった。別れ際には、少し気まずい雰囲気が流れた。帰る途中、Tが自転車で事故に遭い、命を落としてしまった。
私がその知らせを聞いた時、信じられなかった。まるで夢の中にいるようだった。つい、LINEを開いてTにメッセージを送った。すると、未読から既読に変わった。
これは夢だと、心の中でそう思った。
母にこのことを伝えようとしたが、母は「それは未読だ」と言うばかり。私の心の中は混乱し、次第に現実が曖昧になっていく。
そして、Tの葬式の日、私は不安と悲しみに包まれた。Tの墓の前には、スミレの花や何本もの赤い花が供えられていたが、私には違和感があった。彼は人と話すことを好まない子だったからだ。
その日、私はTの好きだったスミレの花を手に取り、彼の墓に添えた。すると、心の奥底から苦しみが湧き上がり、私は思わず線路へと足を踏み入れてしまった。彼のところへ行くために。今も彼の声が聞こえる気がした。あの花言葉を、もう一度聞きたくて。
でも、私の心にあるのはただの絶望だけだった。トンネルの暗闇から、何かが私を引き寄せるように感じた。どこかでTが待っているように。彼の声が響く間、私はその場に留まることができなかった。私の目の前には、もう何も見えなかった。
そして、暗闇の中、スミレの花が一輪、揺れていた。彼からのメッセージのように。
それは、私が感じた最後の温もりだった。
何もかもが消え去る前に、私は心の中で叫んだ。「T、私も一緒に行くよ。」
後日談:
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