
長編
兄妹
めぐりん 3日前
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らなぁ!待ってろよ!逃げんなよ!」
私はこちらに来られては困るという考えと、自分の生活を守らなければという使命感にも似た感情から行動にでた。
ベランダに面した窓を勢い良く開け放ち、声のする方向に向け返答した。
「夜中に何なんですか!?困ります!近所迷惑ですよ!警察呼びますよ!」
私の部屋から漏れ出る灯りで、うっすらと女性の家が照らし出される。
目の前の家には一切の灯りが灯っていなかった。
目の前の家、1階部分の空けてある窓から声がしたため、そちらに向かって話し掛ける。
そこには色白で顔が前髪で半分くらい隠れた女性が、こちらを睨みつけていた。
気持ちが悪かった。
女性は一旦怯んだが、先程よりも更にヒステリックにまくしたてて来た。
「警察!?呼ぶなら呼びなさいよ!こっちも出るとこ出るわよ!ねぇかずくんパソコン持って来て!記録しなきゃ!早くー!」
するとアパートとその女性の家を隔てるブロック塀の陰から、ムクッと男が立ち上がった。
ブロック塀自体の高さは低く、恐らくしゃがみこんで隠れていた男が、女性の声に反応し立ち上がったのだと思う。
男の手にはトンカチと鋸が握られていて、鮮やかな赤い液体が、手に持った工具や着ている白いTシャツに飛び散った跡があった。
男の異様な風貌に危険を感じ、慌ててベランダの窓を閉める。
窓の外からはまだ女性の声がしている。
「かずくん、あいつやっちゃってよ!滅茶苦茶にしちゃって良いからー!今すぐやってきて!あぁあー!」
完全に狂ってる、、、、
やっちゃうって、、、、
怒りを恐怖心が上回りそうになりながらも、自己防衛本能から、携帯を手に取り警察へ電話をしようとした。
「もうしたよ。
すぐくると思う。
ったく、とんでもない奴だなーwww」
友人は至って冷静に警察に電話をしてくれていた。
5分もしない内に私の家に警察が駆け付け、事情を話すと直ぐに女性の家に向かってくれた。
1時間程して再び警察が自宅に来る。
「あなたのお話しされた様な女性は、向かいの家には住んでいないみたいですよ。」
警察の人の第一報を聞き、愕然とした。
警察官が向かいの家のインターホンを押すと、初老の男性が出てきたという。
釈然としない内容だったが、外も静かになっていたし、警察の何かあれば直ぐに駆け付けられるという言葉に多少なりとも安心しその日は眠りに就いた。
後日気になりアパートの大家さんに向かいの
後日談:
- 噂では妹は生きていて、家から一歩も出る事なく生活を送っているとのこと。
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- え? アパートに住んでいた頃の話、で始まっているのに最後はまだ住んでいる設定になってる?名無し
- 生きている人間だったとしても、幽霊だったとしても怖すぎる。。。。 生きててその向かいの家に居るのならどうやって警察から身を隠したんだろう。。。? その2人が家にいることを隠さないといけないような理由でもあるのかなselena
- これは不気味だね その兄妹の生死がはっきり分からない菜々氏
- 引っ越さないでよく住んでたね!強い人だね感心‼匿名