
これから語るのは、ある廃病院での禁忌についての話だ。入院中の友人Bから聞いた話と、そして現地を訪れた際に地元の人々から聞いた噂をまとめたものだ。
Bとは大学時代の同級生で、卒業後も時折連絡を取り合う仲だった。ある日、Bが入院したと聞いて、見舞いに行くことにした。
「やあ、大丈夫か?」
久しぶりに会ったBは、以前の活力を失っているように見えた。まるで別人のようだ。病室には古びた医療器具が散乱している。
「ああ、あまり良くないんだ。」
Bは笑顔を作るが、その目は虚ろだった。私は心配になり、どうしたのかを尋ねた。
「食事が取れなくて、体が動かない。腕の感覚もほとんどない。」
「それは一体どういうことなんだ?」
Bはしばらく黙って考えてから、重い口を開いた。
「原因は分からないんだ。入院の理由も名目上は検査入院だが、実際には俺には分かっているんだ。もう時間がないってことも。」
Bは、過去の出来事を語り始めた。彼は頻繁にキャンプに出かけていたが、最近は人の多いキャンプ場を避けるようになっていた。そこでネットで見つけたのが、T県の山奥にある廃病院だった。
「そこは人が少なくて、静かに過ごせると思ったんだ。だから、週末に行くことにした。」
廃病院に着いたBは、薄暗いなかでテントを張り、周囲の静けさを楽しんだ。しかし、次第に異様な静寂に不安を感じるようになった。
「周囲は静まり返っていて、虫の声すら聞こえなかった。そんな時、妙な声が聞こえてきたんだ…」
…食べたいなぁ…
その声に驚き、Bは声の主を探したが、影のような人影が見えただけだった。恐怖に駆られたBは、必死に逃げ出したが、影は彼の左腕に食らいついた。
「それから夢の中で、あの影たちが次々と現れた。食べたい、食べたいと…」
Bの身体は徐々に衰弱し、夢の中で食われる感覚が快感へと変わっていった。彼は次第に自分が自分でなくなっていることに気づく。
「夢の中では食われることが心地よく、もっと食べてくれとさえ思うようになっていた。俺はそれが怖いんだ。だから、この話をお前にしたんだ。」
Bはそう言って笑ったが、その笑顔にはどこか狂気が混ざっているように見えた。私は言葉を失い、病室を後にした。
翌日、私は廃病院の周辺を訪れ、地元の人たちに話を聞いてみた。すると、かつてこの地で飢饉があり、人肉食が行われていたという噂を耳にした。
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