
放課後、俺たちは廃校に忍び込んでいた。もう使われなくなった校舎は、冬の冷気の中でひんやりとしていた。かつての教室には、古びた机や椅子が散乱し、薄暗い廊下には、長い間誰も踏み入れたことがないような埃が積もっていた。
都会育ちの友人たちが「田舎の探検は面白い」と言っていたが、俺はこの学校に何の魅力も感じなかった。何もないこの場所には、ただ恐怖しかなかったからだ。
その日は特に寒く、夕方になるにつれて、外はどんどん暗くなっていった。俺たちは一つの教室に集まって、廃校の噂話をしていた。すると、ふと目に留まったのが、教壇の上に置かれた古びた日記だった。
気になって手に取ると、表紙には「田所日記」と書かれていた。中を開くと、そこには不気味な内容が綴られていた。「助けてください。ずっと見られています。」
俺はその文字を見て、背筋がぞくりとした。誰がこんなことを? その時、後ろから声が聞こえた。「それは、彼女の声よ。」
驚いて振り向くと、そこには近所の老婆が立っていた。彼女の目は虚ろで、俺たちをじっと見つめていた。「あの子は、ここから逃げられなかったの。ずっと見られているのよ。」
俺の心臓が早鐘のように打ち始めた。老婆は続けた。「彼女は、助けを求めていた。だが、誰も気づかなかった。」
動揺しつつも、俺は日記を持ってその場を離れようとしたが、老婆が一歩踏み出すと、突然、教室の電気が消えた。闇の中、耳元でささやくような声が響いてきた。「助けてください。逃がしてください。」
恐怖で動けなくなった俺たちの目の前に、老婆が近づいてくる。彼女は満面の笑みを浮かべていたが、その表情はどこか不気味だった。「逃げてはいけない。彼女はずっとここにいるのよ。」
その瞬間、俺たちは恐ろしい現実に気づいた。どうやらこの廃校には、田所さんの霊が留まっているらしい。俺たちはその場から逃げだすことにしたが、廊下を走り抜けるたびに、背後から「助けてください」との声が追いかけてくる。
外に出た瞬間、冷たい風が俺たちを包む。振り返ると、老婆の姿は消えていた。しかし、日記に記された言葉は、今も俺の心に残っている。あれから数日、田所さんのことを調べると、彼女はこの学校で行方不明になった生徒だったことが分かった。彼女は助けを求めていたが、誰もその声に気づかなかった。
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