
私は一軒の廃病院に勤める建設業者です。近年、医療施設の改装や撤去依頼が増加し、特にこの病院は長年の使用を経て、解体を決定する運びとなりました。
数週間前、ある患者の家族から連絡があり、亡くなった親族のために病院を解体し、土地を利用したいという要望がありました。話を聞くと、その患者は長年入院していたが、他の親族が近くに住んでおらず、彼の葬儀も行われていないとのこと。彼の思い出を整理しようと決意したようでした。
通常、病院の解体には医療機関としての手続きが必要ですが、今回は古い病院の所有者が死去し、継承者がいないため、行政の許可を得て作業を進めることになりました。解体前に、私たちは病院内を調査し、古びた医療器具や個人の持ち物が散乱しているのを見ながら、少し不気味さを感じました。
作業は予定通り進み、数日後に病院は完全に解体されました。依頼者に連絡をすると、彼は訪れる予定があると言っていました。その後、連絡が途絶え、こちらから何度か電話をしましたが、応答はありませんでした。しばらくして、ようやく連絡がありました。彼は突然の体調不良で入院していたとのこと。
解体工事が終わってから体調を崩したということで、何か因果関係があるのかと気になりました。彼は解体の様子を見に行く気にはなれないと言い、完了の報告と写真を送り、振込での支払いを了承してもらいました。
その後、私はこの事件を考え続けました。病院の解体に何か悪い影響があったのか、それともただの偶然だったのか。気持ちの整理がつかないまま、心のどこかで彼の存在が未解決のまま残っているように感じました。いつか、病院の跡地に何かが起こるのではないかと。
数ヶ月後、私がその場所を通りかかると、ふと病院の廃墟があった場所に、何もなかったはずの影が見えました。まるで、そこにまだ彼がいるかのように。何もなかったはずの場所に、彼の思いが漂っているようで、私は背筋が凍るのを感じました。
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