
長編
私が霊を信じるようになったわけ
ボク 2020年8月20日
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Tは一瞬驚いた顔をしたが
「うん、入ってみるわ。でも自分らはここに残りや」
とロープをまたぎ、スタスタと入り口へと向かった。
私達は呆気にとられていたが、Tは歩みを止めることなく、
ガチャッ…と正面玄関の扉を開き、中に入っていってしまった。
私はすかさずKに
「おいおい大丈夫なんか?」と言ったが
Kは「大丈夫やろ!悪霊退散してくれるって」と笑っていた。
初対面ということもあって私達はTを知らない分、Kほど呑気にはいられなかった。
Tが建物の中へと姿を消して2.3分経っただろうか。
私達はTが入っていった入り口を凝視したままTの帰りを待った。
すると小走りでTが出てきた。
「あかんあかん。霊が出てきた」とTは少し取り乱し気味に私達に伝えた。
そのTの様子にとっさにやばさを感じた私達はTの後を追いかけて、一旦大通りまで避難した。
「はぁ…はぁっ…」
いきなりの出来事にみんな息を切らしている。
Tも私達と同じように呼吸が乱れている。
そして私はTに
「出てきたってどんな霊?」と聞いた。
Tは
「6体ぐらい来た。数自体は普段なら何とも思わん数なんやけど、その中の1体にものすごい悪意を感じたからこれ以上はやばいって判断した」
と取り乱しながら答えた。
私「まじ?ちなみにどんな容姿やったん?」
T「その霊は女やった。どんな容姿か?うーん…分かりやすく言うと貞子やな」
「それ一番やばいやつ!」と私がツッコミを入れると、回りの友人達に少し笑顔が戻り、小さな笑いが沸き起こった。
でもNだけは笑っていなかった。
するとNが
「なぁ?T。初対面でこんな事言うのもあれやけど、お前ほんまに霊感あんの?」
と言い出した。
Nも私と同様にTの事を胡散臭く思っていたのだろう。
Tは
「それよく言われるけどほんまにあるよ。でもまぁ霊感ない人からしたらちょっと胡散臭く感じるかもなぁ」と笑っていた。
そしたらNは
「いやちょっとどころやないよ。かなり胡散臭く感じてる。そもそも俺は見えへんもんは信じひんタイプやし。さっきも流れでここまでついて逃げてきたけど、俺はTの手のひらで踊らされてるようでなんか嫌やわぁ」
と突っ返した。
私は内心
(おいおいそんなストレートに言うか?)
とヒヤヒヤしたが、Nの言い分も分からなくはないので、黙ってTを
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