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短編
真冬の山の囁き
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真冬の山の囁き

1週間前
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北アルプスの奥深く、雪に覆われた山小屋がある。その周囲には、古い登山道具が無造作に置かれ、風に吹かれてきしむ音が響いていた。冬の寒さが厳しい夜、登山が趣味の中年男性、佐藤は友人たちと共にその山小屋に泊まることになった。

雪が降り続く中、彼らは暖炉を囲みながら楽しいひと時を過ごしていたが、次第に外の風の音が不気味な囁きに変わっていく。満月が空に浮かぶ頃、佐藤は友人の一人が姿を消したことに気づく。彼は、急に吹雪が強くなり、行く手を阻まれたため、外に出られなかったのかと考え、心配になった。

一人、外へ探しに出た佐藤は、積もった雪の中、足元がふらふらとした。周囲は真っ白で、視界がまったく効かなかった。その時、彼は薄暗い影が雪の中に立っているのを見つけた。それは人間の顔を持つが、体は異形の存在で、まるで雪の精霊のようだった。影は低い声で「ここに留まりなさい」と囁いた。

恐怖を感じたものの、佐藤はその影の警告を無視し、さらに奥へと進んだ。しかし、進むにつれて雪は深くなり、彼の体力は次第に奪われていった。やがて、彼は道を見失い、迷い込んでしまった。絶望的な状況に陥った佐藤は、一晩中、寒さと恐怖に耐えることになった。

翌朝、ようやく山小屋に戻り、友人たちに自分の経験を伝えようとしたが、言葉がうまく出てこなかった。しかし、数日後、彼は突然、心臓発作で倒れてしまい、命を落とした。友人たちは悲しみにくれ、山小屋はその後、誰も近づかない場所となった。彼の死の真相を知る者は誰もおらず、ただ風が吹き抜けるだけだった。そこには、今もなお、影が待ち続けているのだろう。彼の叫びは、静かな雪山に響いているのかもしれない。あの声は、決して忘れ去られることはない。彼が見たものは、誰も知らないままだった。

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