
友人の勧めで、私は廃業した駅舎に泊まることにした。小さなバンを少しだけ改造して、簡易的な寝床を作った。駅はもはや営業しておらず、周囲は静まり返っている。冬の寒さが身にしみる夜、早めに夕食を済ませ、映画を観ようとスマホを取り出した。すると、バンが微かに揺れた気がした。最初は風のせいだと思ったが、揺れが続く。何かがバンに触れているのだろうか。恐る恐る外の様子を窺うためカーテンを少し開けた。しかし、何も見えない真っ暗な夜だった。
その時、バンの側面を叩く音が聞こえた。「コンコン」と規則的に当たる音だった。心臓がバクバクし、私はシェラフに潜り込んで息を潜めた。外の音は続き、恐怖で思考が混乱していく。「誰かいるのか?」声をかける勇気もなく、ただじっとしていた。
しばらくすると、音が止んだ。安堵したのも束の間、次の瞬間、車の窓がガタガタと震えた。私は恐怖で身動きが取れず、ただ耳を澄ませた。「ネチャッ」という液体の音が聞こえてきた。恐ろしい想像が頭を巡り、意識が遠のいていった。
朝が来て、私は目を覚ました。外は明るく、時間は午前9時。周囲を見渡すと、自分のバンしかない。駅は完全に廃墟と化していて、営業していない様子だった。パニックになりつつ、車を発車させ、外に出ようとした。足元に何かが転がっている感覚がしたが、気にせず進むことにした。
道を走るうちに、次第に周りの景色が変わり、やがて本物の駅に辿り着いた。スマホで確認すると、昨晩泊まったのは、廃れてしまった駅舎だった。口コミには心霊現象に関する投稿が並んでいた。私は心霊を信じないが、昨夜の出来事が頭から離れなかった。
人が近づいてきて、「あんた、あの廃駅に行ったのか?」と聞かれた。彼らは笑いながら、廃駅の噂を語り始めた。「そこには一人の男が住んでいる。彼の性癖は、車を調べることだ」と言われ、私は愕然とした。何が起こったのか、理解できなかった。ただ、バンの周りに付着していた液体が、彼の仕業だと知った時、背筋が凍りついた。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



