
私の父は、若くして亡くなりました。
私が物心つく前のことです。
享年25歳。
父について母から教えてもらったのは、小学生の頃でした。
ただ、父がなぜ亡くなったのか、その詳しい事情を知ったのは、私が15歳の誕生日を迎えた日のことです。
その日は、私の誕生日を祝うために、父方の祖母が家に来てくれていました。
食卓を囲み、みんなで楽しく話していると、祖母がふと思い出したように言いました。
「そうそう、○○ちゃん。今日はプレゼントを持ってきたのよ」
私は大喜びで、早く見せてとせがみました。
祖母が渡してくれたのは、小さくて薄い紙袋でした。
正直、少しがっかりしました。
化粧ポーチとか、かわいいアクセサリーとか、そういうものを期待していたからです。
それでも、何が入っているのか気になって袋を開けてみました。
中に入っていたのは、お守りでした。
「○○ちゃんが、健康で長生きできますようにって。長寿のお守りなのよ」
「ありがとう……」
私はがっかりした顔を見せないように、精いっぱい笑顔を作りました。
祖母はそんな私を、どこか寂しそうな目で見つめていました。
しばらくすると、母が誕生日ケーキを運んできました。
部屋の電気が消され、15本のろうそくに火がともります。
「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー」
母と弟、そして祖母が、私のために誕生日の歌を歌ってくれました。
私は願い事をして、勢いよくろうそくの火を吹き消しました。
母が部屋の電気をつけた、そのときです。
私は驚きました。
祖母が、静かに泣いていたのです。
「おばあちゃん……?」
母と弟も祖母の様子に気づき、さっきまでの和やかな空気が一変しました。
「どうしたの?」
私が尋ねると、祖母はハンカチで目元を押さえながら答えました。
「ごめんね。せっかくのお誕生日なのにね。ずっと我慢してたんだけど……」
そして、私の顔を見つめながら言いました。
「○○ちゃんが、かわいそうで……」
祖母は、それまで誰も教えてくれなかった父の死について話し始めました。
父の家系では、なぜか男も女も25歳で亡くなってしまうのだそうです。
祖父も、父もそうでした。
二人とも大きな病気をしたことはなく、健康そのものだったのに、25歳のある日、突然心不全で亡くなったといいます。
親戚の間では、昔からそういう血筋なのだと恐れられていたそうです。
「だからね、○○ちゃんも、弟くんも……きっと……」
そこまで言うと、祖母は再び泣き崩れてしまいました。
後日談:
後日談はまだありません。
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