
冬の寒い夜、大学生の私はバイトを終え、コートを羽織ったままアパートの階段を上がっていた。ドアに手をかけた瞬間、何か不気味な感覚が背筋を走る。ドアが少し開いている。私は一瞬ためらったが、心配になり中に入ることにした。
部屋に入ると、薄暗い室内が目に飛び込んできた。家族はおらず、ひとりの静寂が広がっている。とりあえず電気をつけると、何かがクローゼットの中で動く音がした。
心臓が高鳴り、恐る恐るその音の方へと歩み寄った。クローゼットの扉を引くと、そこには私と同じくらいの少年が座っていた。私は驚きの声を上げ、後ずさりしたが、彼はただ黙って私を見つめ返してきた。
「君は誰?」と聞くと、彼は笑顔を浮かべて「隠れていたよ」と答えた。その瞬間、背後で何かが動いた気がして振り返ったが、誰もいなかった。再び少年を見つめると、彼はもういなかった。
私は急いで外に飛び出し、近所の人に助けを求めた。後にわかったことだが、隣の部屋に住む家族の子供だったとのこと。彼の両親は「よく見つけたね」と笑っていたが、私の心には不安が残った。
それから数年後、私はそのアパートを離れたが、あの日の出来事は今でも思い出す。あの少年の顔、そして果たして彼が本当にそこにいたのかどうか、いまだにわからない。隣の部屋の住人は、今もそのままだ。もしかしたら、彼はずっと私を見ているのかもしれない。夜になると、クローゼットの扉が再び音を立てることがあるからだ。私の部屋には、今も彼がいるのかもしれない。彼が何を望んでいるのか、考えたくもない。これが、私の怖かった出来事の真相だ。
夜の静けさが、また一段と深まっていく。私の心の中に潜む影と共に。
あの少年と、私の物語は終わらない。彼は今も、どこかで私を待っているのかもしれない。
彼の存在が、また私のクローゼットを開けることはないだろうか。恐怖が、再び私を襲う日を待っている。
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