
長編
俺がチャラ男を辞めた理由【アレンジ編】
匿名 2019年9月18日
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大人になっても忘れられない記憶。
それも、自分自身の行いが原因だったなんて
当時の私は想像もできなかった。
若気の至りと言ってしまえば聞こえは良いが、
当時の私はどうにかしていたんだと思う。
私は現在22歳。
話は私が高校1年生の頃に遡ります。
ところで、
誰にでも黒歴史というものがあるのではないだろうか?
当時の私は俗に言う〝チャラ男“
若さを武器に、女性を見ればすぐに口説きたい衝動に駆られた。
良い言い方をすれば自分に素直。
これが後にとんでもないことを引き起こす…
街がクリスマスムードに染まる12月。
仲間内でふとこんな会話が始まった
「肝試しをやろう」
あるメンバーが夏に肝試しをしていないことを
今になって思い出したようだ。
その場に居合わせたのは私を含めて五人。
男3人、女2人。
ここにいる女性2人は先日ナンパで知り合った子達だ。
肝試しの場所は街外れの裏山。
1番歳上の19歳の男が車を出してくれる
というので、
肝試しに向かう雰囲気とは思えないくらい
小旅行ドライブ気分。
行きの車の中でみんなで歌を唄うなど
和やかな雰囲気で肝試しがスタートした。
裏山の麓まで差し掛かった途端、
車のエンジンが突然止まってしまった。
「なぜ………?」
突然のことで全員が静まり返る…
緊張感が一気に車内を駆け巡った。
得体の知れない圧に押し潰されそうになる。
車のエンジンをかけなおし、
なんとか車で通れる幅の山道をゆっくりと進んでいく。
そのうちに見慣れない赤色の橋が目の前に見えてきた。
道は一本道。
ここを通るしかない。
先程の緊張感も手伝って、
全員が車のライトが照らし出す先を
真剣に見つめていた。
橋を渡りきり、長い階段の先に佇んでいるのが
今回目的地の古ぼけたお寺である。
ここからは徒歩。
外に出ると冷たい風が顔を刺す。
夜の山中、ましてや12月である。
肝試しというより、我慢比べである。
長い階段を登り切った頃には息が切れ
いくらか体が温まっていた。
その瞬間
「ゾクッ…!!」
冬の冷気とは明らかに異なる悪寒を感じた。
全員口を開かないが
それでも考えていることは同じであったはずである。
「1秒でも早く車にもどろう」
俺らは全力で元来た階段を駆け下りた。
これでもかと全力で階段を降りる途中、
視線を感じてお寺のほうを振り返る。
女性が1人、こちらを見下ろして立っている。
車内に戻りこのことを他のメンバーに伝える。
「呪われてたりしてー」
そんな会話をしたのを覚えている。
車に戻れた安心感からだろうか、
心なしか体がかるい。
ふと車内を見渡すと、とある違和感を覚えた。
「あれ………?」
車内にいるのは私含めて4人。1人足りない。
2人来ていたはずの女性が1人いない…
私が最後の1人を待っていると
「なにしてんだ!はやく車をだしてくれ!!」
なぜだか急かされる。
「いや、1人来てないだろ!」
と答えた瞬間、友人の発言に私は青ざめた。
「何言ってんだ、初めから4人だろ?」
何が起こっているのか思考が追いつかない。
混乱しながらも5人目の存在を仲間に訴えるが
一向に相手にされない。
それどころか、恐怖でおかしくなったのは
私のほうなんじゃないかと思うほどだ。
その後の記憶は曖昧である。
なにせ私1人がおかしな状況に放り込まれて
混乱していたからだ。
あの日から何日たったのだろうか
あの混乱が夢だったのではないだろうかと
思うほど私の記憶からあの日のことが薄れていた頃だった
世間は夏休み。
強い日差しが容赦なく体の水分を奪っていく。
現在22歳。あの日から数年が経ち、
大学は卒業出来たものの
就職できずに絶賛フリーターである。
私はというと相も変わらず女の子のお尻を追っかけ回
している毎日。
ふと、交差点で信号待ちをしていた細めの女性に目がとまった。
声を掛けようとした瞬間
「ドンッッ!」
後ろから誰かに押されて思わず体勢が崩れた。
顔をあげると声をかけようと思っていた女性の姿がない。
「………あれ?」
不思議な感覚に一瞬思考が止まる。
誰かに押されなかったら声をかけられたのに
止まった思考が動き出した瞬間怒りが沸き始める。
舌打ちを鳴らした後来た道を戻ろうと振り返った時
忘れていたはずの悪寒があの日の記憶とともに蘇る。
いるのだ。
さきほど声をかけようと思った女性が目の前に。
あの日、お寺でみた女性が目の前に。
反射的に体が一歩後ろに下がる。
顔は長い前髪でほとんど覆われてて良く見えない。
が、赤い口紅がかすかにみてとれる。
そのあまりの不気味さに声が出ない。
いや、それどころか体が動かない。
女性がゆっくりこちらに歩きだそうとする。
どうしたって体が動かない状態で、
真正面から不気味な女性を目の当たりにして
どれだけの人が正気でいられるだろうか。
女性の顔が私の顔に触れそうになる。
思わず目をつぶった。
が、なにも起こらない。
目を開けるとその女性は消えていた。
ホッと気が緩んだが、
ハッと気がつくと自分の右手に
女性のものと思われる長い黒髪が握られている。
「いつの間に??」
そんなことよりも、
握っている髪の毛が気持ち悪い。
ここまでくるとあとは神頼みしかない。
近くの神社へ相談に行き、
御祓を丹念に行ってもらった。
握っていた髪の毛は神社で回収してもらえるとのことで、
預かってもらった。
お寺を出る時確認されたのだが、
「だれかに恨まれでもしたのかい?」
心当たりがないわけでもなかった。
あの日の前日まで何人の女性を口説いてきたかわからない。
そりゃ誰かに1つや2つ恨まれててもおかしくない。
スッキリしないまま自宅に戻ると
丁度母親が田舎から上京するとのことで連絡があった。
仕方なく汚い部屋を片付けている時である。
いつからそこにあったのだろうか。
無造作に置かれた雑誌の間に
古い新聞紙が挟まっていた。
それを見て私の目がとある記事をみつけた。
そこには、高校生当時付き合っていた女性の
死亡記事が載っていたのである。
交通事故による不幸な最後であったことを知った。
今のいままで顔も忘れていた彼女。
新聞に載った彼女の写真を見て全てを把握した。
過去二回私の前に現れた女性の姿そのものだったのだ。
原因は自分のチャラい行動であることであると
気がつくのにさほど時間がかからなかった。
彼女がいながら数多くの女性と体を合わせた。
それを彼女が知った時、私は自分勝手に振る舞い
彼女を傷つけた。
最後にお互い話をしようと約束した待ち
合わせ場所に彼女は来なかった。
来れるはずがなかったんだ。
新聞の日付はそのすぐ後の記事になっていた。
なぜ優しくしてやれなかったのだろう
なぜもっと彼女のことを第一に考えてやれなかったのだろう
己の身勝手さを改めて痛感した。
とその時
「ピンポーン」
玄関のインターホンが鳴る。
我に返りインターホンの液晶画面を見て
再び驚愕する。
田舎から上京してきた母親のとなりに写っていた
彼女の姿を見て…。
※原作にアレンジを加えています
→元ネタ :匿名さん「俺がチャラ男を辞めた理由」より
その後の話しは、
希望があればコメント欄に書き込みをよろしくお願いします。
後日談:
- 匿名さんの既出の話しをアレンジしました。 楽しんで貰えたら嬉しいです。
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