
冬のある寒い夜、俺は祖父母の家に戻ってきた。子供の頃から時折訪れていたこの古い別荘は、山の中にひっそりと佇んでいた。家族は、両親、祖母、そして8歳下の妹と共に、俺はここで過ごした。だが、幼い頃から言われていた一つの言葉が、心の奥に不安を植え付けていた。「2階には行ってはいけない。」
その言葉の意味を知りたくて、何度も両親に理由を尋ねたが、いつも曖昧な返事しか返ってこなかった。1階には十分な部屋があったから、実際に困ったことはなかったが、2階への階段はいつも不気味に思えた。階段の途中には、魔除けの札が無数にぶら下がり、盛り塩までされていたからだ。
ただ、祖母は例外だった。彼女は食事の準備のためか、何度も2階に上がっていた。両親はそれを咎めることはなく、俺は不思議に思っていた。ある冬の日、家族全員が集まった食卓で、祖母が昔の話を始めた。祖父は地元で名の知れた狩人であり、彼の冒険は村の伝説として語り継がれていた。特に、ある冬に狩ったという「山の霊」の話は、子供心に恐怖を感じさせた。
「彼は、山の主を仕留めたと言って、狂ったように喜んでいた。でも、その後彼は二度と帰ってこなかったの。」祖母の話を聞きながら、俺は背筋が凍る思いをした。
その後、妹と二人きりになった時、彼女が言った。「昨晩、泣き声が聞こえたの。2階から。」驚いた俺は、妹と一緒に階段を登ることにした。恐る恐る2階へ向かうと、奥から呻き声が聞こえてきた。恐怖にかられながら、俺たちは薄暗い廊下を進んでいく。
辿り着いた部屋の前で、俺は襖を開けた。そこには、暗い部屋の中に大きな影があった。それは黄金色の毛に覆われ、まるで獣のような姿をしていたが、顔は祖父のものであるかのように思えた。恐怖が一気に押し寄せ、俺は妹と共に逃げ出した。
その後、時は流れ、俺は大学生になり、実家を離れていた。そんなある日、祖母の訃報が舞い込んできた。彼女が亡くなったと聞いた時、俺の心には一つの疑念が浮かんだ。あの2階の部屋には、今もまだ何かがいるのだろうか?
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