
冬の寒い夕方、私は不動産会社に勤める新人社員として、写真撮影のためにとある一軒家に向かっていた。入社してまだ数ヶ月しか経っていない私は、毎日が慌ただしく、特に物件の撮影は大変な仕事だった。
その日は特に冷え込んでいて、雪がちらちらと降る中、古びた一軒家に到着した。先輩から渡されたリストには、その家の鍵が郵便受けの中に入っていると書かれていた。私が鍵を取り出すと、同時に一枚の古いカメラが目に留まった。それはまるで忘れ去られたように、埃をかぶっていた。
撮影を始めるために、まずは家の中に入った。玄関を抜けると、薄暗い廊下が続いており、奥には広いリビングが見えた。リビングには大きな窓があり、夕方の光が差し込んでいたが、外の雪景色とは裏腹に、中は異様な静けさに包まれていた。
私はカメラを構え、まずはリビングの写真を撮ろうとした。ところが、シャッターを押す瞬間、背後から視線を感じた。振り返ると、そこには4、5歳くらいの小さな女の子が立っていた。まるで透明な存在のように、彼女はこちらを見つめていた。明るい窓の光の中でも、彼女の顔は真っ黒で何も見えなかった。
恐怖に駆られた私は、慌てて後ずさりし、廊下を駆け抜けて玄関へと向かった。心臓がバクバクと鳴り、何が起こったのか整理できずにいた。外に出ると、一気に冷たい空気が私の顔に当たり、車に乗り込み、早く会社へと向かった。
会社に到着すると、少し心が落ち着いたが、あの子のことを思い出すと再び恐怖が蘇ってきた。先輩には何も言わないと決め、リストを渡すと、「最後の物件、撮影をしてきました」と伝えた。先輩はリストを眺めながら、「あの家に入ったのか?」と聞いてきた。そこから先は、嫌な予感がした。
詳しく話を聞くと、その家では数年前、母親が二人の子供を殺害した事件があったという。上の子は女の子で、下の子はまだ幼い赤ちゃんだった。その話を聞いた瞬間、私は背筋が凍る思いがした。先輩が言うには、その後もその家は空き家のままだったという。私が見たのは、もしかしたらその女の子の霊かもしれない。
その後、家の入居者が決まったと聞いたが、あの女の子が一緒に住むことになるのかと思うと、ただ気味が悪かった。私の撮影した写真には、何かが写り込んでいるのではないかと、今でも不安が消えない。
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