
これは、大学生活最後の冬に僕が体験した話です。
その頃、僕は大学の寮に住んでいて、授業が終わると夜遅くに帰宅するのが常でした。帰り道は、閑静な住宅街を通り抜けるもので、街灯の少ない暗い道が続いていました。
家の近くには、古びた看板が立っている交差点があり、そこは明るい場所と暗闇の境界でもありました。交差点の対角線には、寂れた公園があり、その影からは何かが見ているような気がしてなりませんでした。
その夜も、いつものように交差点に差し掛かると、何かが目に入りました。きっと、古い看板の影だろうと考えつつも、僕は少し早足になりました。
しかし、看板の影から出てきたのは、黒い影のようなもの。細長い身体と、異様に長い手足を持つその存在は、ただじっとこちらを見つめていました。「まさか、見間違いだろう」と思いながらも、心臓がドキドキと音を立てていました。
その時はまだ、友人に話す面白いネタができたくらいにしか思っていませんでした。交差点を通り過ぎると、急に背後に冷たい視線を感じて、心の中で「やってしまった」と思いました。
この恐怖が、何か異常なものを引き寄せているのではないかと不安に駆られつつ、僕は全速力で自転車をこぎました。次の信号までの距離を考えながら、「もしあいつがついてきたらどうしよう」と、絶えず考えていました。
信号が近づき、体力も限界に近づいていました。振り返ると、黒い影が急に近づいてきている気配がしました。思わず目を閉じて、全力で曲がり角を曲がりました。
運良く転倒は免れましたが、心の中では「もし最後の信号にもいたら」と恐怖でいっぱいでした。ようやく信号の明かりが見えてきて、ほっとした瞬間、そこには何もいないことを確認しました。
一瞬、安心したのも束の間、その場に立ち尽くすと、背後から人の気配が。振り返ると、通りかかったおばあさんが、荷物を持っているのが見えました。この瞬間、明かりの中で人と会えたことがどれほど嬉しかったか。
それ以来、あの交差点を通る勇気はなくなり、別の道を選ぶことになりました。あの影が何だったのか、今でもわかりませんが、怪異は突然やってくることがあるという教訓を得ました。
もし次回、あなたが夜道を歩く時、気をつけてください。影のようなものが、あなたを見ているかもしれません。
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